研究実績の概要 |
本研究では、骨リモデリング機能を強化させ、さらに生体に内在する間葉系幹細胞を再生させたい場所に誘導する「間葉系幹細胞誘導システム」を付与することで、動物由来材料から脱却した骨リモデリング機能を有する幹細胞誘導型硬組織再建・再生材料の開発を目指す。外部から細胞移植を行うことなく骨再生治療を達成することから、医療機関の全てで使用することが可能であり、口腔領域に限らず、「骨」を対象とする整形外科や形成外科での実用を可能にする基盤研究を行うことを計画した。2021から2022年度は当初予定していた産学連携共同研究施設の変更が行われ、幸いにも本プロジェクトに賛同してくださった新たな他大学理工学部との共同研究計画も立ち上げ、生物材料に依存しない新規骨補填材の開発および、口腔領域疾患への応用を展開していくこととなった。2022年度はラット顎骨欠損モデルも確立することで、分子生物学的にも検証手段の方法が拡がり、かつ骨置換部分の間葉系幹細胞の動態を評価することを予定していたため、ラットを用いた定量評価が可能な顎骨欠損モデルを確立することに注力した。現在新規骨補填材料の評価系を構築するべく、臨床で用いられている(適応が認められている)ガイストリッヒ バイオオス, b-TCP, 炭酸アパタイトを用いて、自家骨置換率を組織化学的に検証することを予定した。実験開始当初は低侵襲治療を目的に、局所麻酔も使用するプロトコールとしていたが、麻酔の仕方によっては術後のラットが全身的に弱ってしまうことがわかった。予定していた動物実験は最小のn数で、かつ最小の侵襲で行うことが必須であるため、なるべく低侵襲かつ短時間に行えるように麻酔方法から術式の改良を加え、動物実験(ラットモデル)の侵襲を最小限に近いと思われる術式まで確立することができた。
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