研究課題/領域番号 |
19K10180
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菅野 太郎 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30302160)
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研究分担者 |
中村 圭祐 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (30431589)
天雲 太一 東北大学, 大学病院, 講師 (80451425)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | インプラント / オッセオインテグレーション / 骨粗鬆症 / 腸内細菌 / プロアントシアニジン |
研究実績の概要 |
研究計画に従って、雌性Wistarラットを用いたin vivo試験を実施した。動物実験においては、次の3群を設定した:Group 1, 偽手術+水投与、Group 2, 卵巣摘出術+水投与、Group 3, 卵巣摘出術+プロアントシアニジン投与。偽手術あるいは卵巣摘出術の翌日から実験終了まで、水あるいは水に懸濁したプロアントシアニジン(ポリフェノールの一種)を胃ゾンデを用いて毎日経口投与した。手術の翌週に、頭蓋骨に直径5 mmの骨欠損を作製し、さらにその翌週に、脛骨にチタン製のスクリュー(インプラント)を埋入した。最初の手術から、35日後に動物を安楽死させた。従って、骨欠損の治癒期間は28日、インプラントの治癒期間は21日とした。頭蓋骨骨欠損およびインプラントオッセオインテグレーションを、それぞれマイクロCT分析とインプラント除去トルク試験で評価した。また、卵巣摘出の影響を確認するため、安楽死後に子宮と大腿骨を摘出し、子宮重量の計測および大腿骨の骨密度計測も実施した。 頭蓋骨骨欠損のマイクロCT分析の結果、Group 2ではGroup 1に比べて、骨欠損の治癒が遅れていることが分かった。一方、Group 3では、Group 1と同等の骨治癒を認めた。同様に、インプラントの除去トルクも、Group 2では、Group 1と3に比べて有意に低い値を認めた。子宮重量については、Group 2と3では、Group 1に比べて有意に低い値を認めた。大腿骨の骨密度については、Group1と3は、Group 2よりも有意に高い値を認めた。これらの結果から、プロアントシアニジンの経口投与は、卵巣摘出による骨代謝悪化を抑制する効果があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画では、初年度に骨治癒促進効果の評価、2年度にオッセオインテグレーションの評価を行う計画を立てていたが、どちらも並行して実施するモデルを採用したため、両方の試験を初年度におけることができた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度では、想定していた結果を実証することができたため、2年度目は再現性の確認を行うとともに、3年度目に計画していたプロアントシアニジンの経口投与による骨粗鬆症改善効果のメカニズム解明のための試験を行う。特にメカニズムの解明として、マウスにプロアントシアニジンを含有した特殊飼料を与えた場合の腸内細菌叢の変化を調べる。これまでの研究で、Firmicutes門の細菌が増え、Bacteroidetes門の細菌が減少することが示唆されている。そこで、本研究では、より詳細な情報を得るために、次世代DNAシーケンサーを用いた分析を行い属レベルでの細菌叢の解析を実施する。また、血中の骨形成マーカーであるPINPやTRACPの分析も行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた海外出張が新型コロナウイルスの蔓延のために中止となったため。
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