研究課題/領域番号 |
19K10181
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
神田 佳明 東北大学, 歯学研究科, 大学院非常勤講師 (00709123)
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研究分担者 |
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30178644)
宮下 牧子 東北大学, 大学病院, 助教 (40814405)
小川 徹 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (50372321)
天雲 太一 東北大学, 大学病院, 講師 (80451425)
伊藤 彩 東北大学, 大学病院, 特任助手 (90778771) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | リン酸カルシウムナノ粒子 / 遺伝子導入 / 組織再生 / 抗菌性 |
研究実績の概要 |
再生する組織はそれを構築する細胞に依存される。特に複合組織の再生には任意の部位に任意の細胞を誘導させることが重要となる。本研究の目的は、細胞賦活因子と遺伝子導入技術を応用することで、scaffold内に侵入してきた細胞に任意の分化、成長因子分泌など様々な制御を行うことができる次世代傾斜機能を具備したドラッグデリバリーシステムを開発することである。 まず初めに、リン酸カルシウムナノ粒子を基盤とした遺伝子導入剤を作製し、遺伝子導入剤の細胞親和性と遺伝子導入技術による成長因子の徐放量を検討した。その結果、歯根膜由来細胞、歯肉由来細胞、骨膜由来細胞、骨髄由来細胞に対して高い細胞親和性を示した。また市販の遺伝子導入剤と同等の遺伝子導入効率を持つことが分かった。一方、効率的な骨組織再生療法を開発するために、骨内に多く含有されるIGF-1と骨誘導能を持つBMP-2を組み合わせを調べたところ、BMP-2:IGF-1の比率を1:4にすると細胞の遺伝子レベルで骨組織形成マーカーが向上することが分かった。この結果を基にBMP-2とIGF-1をコードしたplasmidDNAを持つ遺伝子導入剤を配合比率を変えて搭載したコラーゲンscaffoldを作製し、invitro、invivoで、その徐放量を計測したところ、BMP-2とIGF-1の徐放を確認できた。しかし、搭載するplasmidDNAの量を増加しても徐放量が相対的に増加しなかったことから、遺伝子導入技術による任意のタンパクの徐放量には上限がある可能性を示唆された。一方、開発したリン酸カルシウムナノ粒子の最外層にプロタミンを付与することで、細胞への遺伝子導入効率を向上させるだけでなく、歯周炎病原菌に対して殺菌作用も有することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度は、生体を模倣するような細胞賦活因子の徐放scaffoldを作製し、生体反応を観察する予定であった。その結果、2種類のplasmidDNAを搭載した遺伝子導入剤によって生体内外において、任意のタンパクを細胞から徐放できたことを確認した。さらに、この結果について国際学術雑誌に投稿し、成果を発表するなど、本研究課題は予定通り進展している。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度では、抗菌性を有しかつ2種類の任意のタンパクを徐放できるドラックデリバリーシステムの開発を行うことができた。令和3年度では、さらにplasmidDNAを用いたドラックデリバリーシステムを開発する。また、歯周靱帯に局在しているテノモジュリンについて開発した遺伝子導入剤を用いてその作用を検証する。最後に、これまでに得られた成果をまとめ、国際学術雑誌に投稿し、成果を発表する予定である。
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