研究分担者 |
白方 良典 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 准教授 (60359982)
中村 利明 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (60381183)
川本 真一郎 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (70295260)
野口 和行 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (90218298)
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研究実績の概要 |
糖尿病(DM)は,インスリンの分泌障害,インスリン抵抗性の亢進による慢性高血糖を主徴とし,本邦においても近年患者数が急増している.またDMによる高血糖は,微小血管・好中球の機能障害等を引き起こし,軟組織の創傷治癒を遅延させ,感染のリスクを引き起こすだけでなく骨代謝にも少なからず影響を与える.さらに歯の喪失の主要因である歯周炎は糖尿病の6番目の合併症であることも知られており,その後のインプラントによる咬合回復においてもこのような背景を無視することはできない.そこでその克服,つまり糖尿病の既往のある患者に対して予知性の高いインプラント治療の確立が求められている. これまでインプラント周囲の骨造成や初期固定の増強を期待して様々な骨移植材が用いられているが顎堤のボリューム維持のために非吸収性材料が用いられることが少なくない.しかしながら,露出による感染のリスク等を考慮すると吸収性材料あるいはさらに簡便で効果的なアプローチが有効であると考えられた.そこで,高い骨誘導能を有する骨誘導タンパク(Bone morphogenetic proteins:BMPs)の中でも広く用いられているBMP-2に比べ低濃度で同等以上の骨誘導能を有するBMP-9に着目した.そこで本研究ではインプラント周囲の骨形成を促進すべくチタン表面へのBMP-9を吸着固定化し,糖尿病状態におけるBMP-9の徐放による骨形成効果を評価することを目的とした.In vitroにおいて簡便で確実に固定化できる利点を有するトレシルクロリド法を用いて実験用インプラントにBMP-9の固定化を試みた結果,無処置のインプラントでは検出されなかったF1sのピークがトレシル化を行った試料では認められ,さらにラマン分光分析でもBMPに特異的なジスルフィド結合のスペクトルが認められBMP-9のインプラント体への吸着固定化が確認された.
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