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2023 年度 実施状況報告書

温度トリガーで疎水性/親水性が可逆変化する新規レジンの創製と歯科医用材料への展開

研究課題

研究課題/領域番号 19K10186
研究機関北海道医療大学

研究代表者

根津 尚史  北海道医療大学, 歯学部, 教授 (40264056)

研究分担者 遠藤 一彦  北海道医療大学, 歯学部, 特任教授 (70168821)
建部 二三  北海道医療大学, 歯学部, 助教 (10534448)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
キーワード温度誘起ぬれ性可逆転移 / 転移温度の環境極性依存 / NIPAm(疎水/親水転移モノマー) / HEMA(極性モノマー) / MMA(低極性ベースモノマー) / 三元モノマー共重合体 / ブロック共重合体 / リビングラジカル重合
研究実績の概要

1)現在の重合法の課題検討
現在のHEMAを共溶媒としたNIPAm/HEMA/MMA3元系の重合では、特別な制御をしておらずランダム共重合体となり、NIPAm、HEMA、MMAが均一化しているためにNIPAmに起因する親水/疎水転移が明瞭に現れなかった可能性が高い。従って、協同効果が得られるようにNIPAmをブロック化する設計が必要との結論に達した。ただし、各種のモノマー相互の反応性により自発的にブロック性を持つ場合もあるので、実際には局所構造(同種モノマーの連続性の有無)を確認する必要がある。その確認方法を検討した。
2)ブロック共重合法の検討
ブロック共重合体の合成にはリビング重合法を用いるのが一般的であるが、ラジカル重合するNIPAm、HEMA、MMAに対して「リビングラジカル重合」することでブロック化が可能であると考えた。その方法に適した重合開始剤系と溶媒を検討した。
3)本課題の展開
現在までの経過、成果に基づき、社会的な還元が可能な医用材料開発のビジョン(共溶媒法の応用で非相溶の天然高分子と合成高分子を複合化した生体材料の設計、創製の可能性)を検討した。これは新規の骨セメントを念頭に置いたものである。現時点で、①コラーゲンとMMAは親和性が低い、②MMAとHEMAは親和性が高い(任意の比率で混合)、③コラーゲンとHEMAは親和性が高い(過去の別実験で解明済み)ことがわかっており、本課題の進捗に照らしても、この材料(コラーゲン/PMMA複合高分子)の実現性は高いと考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

代表者に学内人事異動があった直後で、学生教育優先の私立大学の特性上、研究のエフォートがほぼない状況が続いたため、認められた研究期間延長の機会を活かしきれなかった。(現在は幾分改善されていると考える。)
また、研究分担者の1名(遠藤)が停年により任を離れたこと、他の1名(建部)がやむを得ぬ事情で大学活動に従前の十分な時間を取れなくなったことから、分担者のエフォートも低下してしまい、委託していた計画部分の進行に遅滞が生じた。
また、コロナ禍の期間に停滞していた国内外の経済活動の急速な再開に伴い、必要な研究物品の調達にこれまで以上に時間が掛かるようになったことも、遅れの一因と考える。

今後の研究の推進方策

昨年度は、上記項目7に説明した事情により研究活動が非常に困難な状況であったが、今年度は代表者の問題および物品調達には若干改善が見込めるので、以下の計画に沿って研究を推進していく。
1)これまでの成果から生じた新たな課題への対応
初期計画の合成方法現在までに得られたNIPAm/HEMA/MMAのランダムコポリマーでは、期待したほどの明瞭な疎水/親水転移が発現しなかった。これを解決して本課題の目標により近づけることを目指す。具体的には、転移を明瞭化するためにNIPAm部をブロック化した構造を持つ共重合体を合成する。得られたブロック共重合体について、ぬれ/脱ぬれの温度転移を、本課題でここまで実践してきた方法で評価する。
2)本課題の展開に向けたパイロット合成
共溶媒法を応用することで、非相溶性高分子同士を準安定に均一化した複合高分子の創製が強く期待される。その一応用として、天然高分子のコラーゲンを合成高分子のPMMAと複合化した、天然/合成複合高分子材の創製の可能性を検討する。これは、従来のPMMA骨セメントに、骨成分と共通のコラーゲンを準安定配合・複合化することで、骨に構成のより近い骨修復材料の創製につなげることを目指すものである。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用が生じた理由: 上記項目7に説明した経緯により、昨年度は予定していた予算執行が計画通りに進まなかった。一方で、これを完遂するために必要な支出があり、その予算として未執行分を次年度使用に繰り越させていただくこととした。
使用計画: 1)最終追加実験:これまでの結果から追加検証が必要となったブロック共重合体の合成および、本課題の展開(天然/合成複合高分子創製)のパイロット合成に必要な最小限の試薬の購入に、最大約10万円の執行を計画している。
2)成果公表:秋季の学会発表参加費(近隣地開催のため旅費不要)および論文の投稿費用としての支出を計画している。昨今は各学術誌とも投稿料が高騰する傾向にあるため、1投稿当たり10~20万円を見込んでいる。

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公開日: 2024-12-25  

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