研究実績の概要 |
本研究では、口腔機能の変化に伴う栄養摂取の変化を調べ次に栄養摂取評価に基づいた指導によって、栄養摂取や運動・認知機能がどの様に変化するかについて検討を行うことを目的としている。 2022年度も、感染対策に十分配慮したうえで、ベースライン時の70歳群(81-83歳)に対する会場調査を行った。2023年3月末までに、4地区合計336名(伊丹地区110名、朝来地区80名、板橋地区97名、奥多摩地区49名)の調査をおこなった。 また、本年度は、前年度の解析から明らかとなった口腔の健康と食欲との関連について、追加解析を行った。1065名(男性521名,女性544名)の対象者において、構造方程式モデリングを用いて口腔機能が食欲を介して栄養状態に影響し、身体機能(握力)に関連するという仮説モデルを作成した。各々のパスに対し標準化推定値を算出し、モデルの適合度評価を評価した。モデルの適合度評価にはGoodness of Fit Index (GFI)、Adjusted GFI(AGFI)、Root Mean Square Error of Approximation(RMSEA)を用いた。 構造方程式モデリングによる検証の結果、仮説モデルには妥当性が認められ(GFI=0.99, AGFI=0.95, RMSEA=0.087)、口腔機能から食欲、食欲からBMI、BMIから握力のそれぞれの標準化推定値はともに有意であった。本仮説モデルの検証により、口腔機能低下は、食欲、BMIを介して握力低下に関連することが示唆された。
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