研究課題/領域番号 |
19K10204
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
石垣 尚一 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (40212865)
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研究分担者 |
矢谷 博文 大阪大学, 歯学研究科, 招へい教員 (80174530)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 慢性疼痛 / 中枢性感作 / 顎関節症 |
研究実績の概要 |
【目的】中枢性感作は,慢性疼痛において重要な概念であり,temporal summation of second pain(以下,TSSP)が有用な指標とされている.しかし,TSSPの刺激条件は十分に検討されていないため,本研究ではその確立を目的とした. 【方法】被験者として,primary myofascial orofacial painを有する患者(n = 39)および,疼痛の既往のない健常者(n = 30)を選択した.健常者におけるTSSP発現様相,および,健常者とprimary myofascial orofacial painを有する患者とのTSSPの差異を検討した.コンピュータ制御定量的温度感覚検査機器を用いて,非利き手側母指球に温熱刺激を与え,疼痛閾値(PT ℃)を測定した後,PT ℃,PT+1 ℃,PT+2 ℃の刺激を2秒間隔で10回連続行った.連続記録した主観的疼痛強度から,TSSPのパラメータ(TSSP magnitude, TSSP frequency, TSSP slope)を算出し,繰り返し刺激による主観的疼痛強度への経時的影響を一般化線形混合効果モデルにより解析した. 【結果】健常者において,PT ℃で主観的疼痛強度は有意に減少したが,PT+2 ℃では主観的疼痛強度は有意に増加した.TSSPのパラメータについてprimary myofascial orofacial painを有する患者と健常者を比較すると,PT ℃におけるTSSP magnitudeは患者群で有意に高く(P < .02),PT+2 ℃におけるTSSP slopeは患者群で有意に長かった(P < .05). 【結論】患者固有の疼痛閾値を基にTSSPの刺激強度を設定し,TSSPのパラメータの多面的な評価をすることが中枢性感作を調べる上で有用であることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績の概要に記載したとおり,患者固有の疼痛閾値を基にTSSPの刺激強度を設定し,TSSPのパラメータの多面的な評価をすることが中枢性感作を調べる上で有用であることを示すことが可能となった.
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今後の研究の推進方策 |
中枢性感作や精神心理学的因子が顎関節症の治療成績に及ぼす影響をDiagnostic criteria for temporomandibular disorders(DC/TMD;顎関節症の診断基準),あるいはInternational Classification of Orofacial Pain(ICOF)により分類した細病態別に明らかにすることを目的として研究を進め,論文執筆を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は,新型コロナウィルス感染症による影響で,当初予定していた発表学会の開催が中止,延期,あるいはオンライン開催となったことと,緊急事態宣言発令により約3か月間病院の一般外来業務が停止し,その後も感染予防策のため,データの収集に支障を来したことによる. 今年度の使用計画として,さらにデータの蓄積を進め,新たに表面筋電図解析・分析機器の開発を行い,国内および国際学会における複数の発表を予定している.また,論文公表を予定しているため,英文校正にも使用予定である.
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