研究課題/領域番号 |
19K10208
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
大島 正充 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (00548307)
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研究分担者 |
井上 美穂 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (20271059)
秋山 謙太郎 岡山大学, 大学病院, 講師 (70423291)
松香 芳三 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (90243477)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 歯科インプラント / 歯周組織 / メカニカルストレス |
研究実績の概要 |
1. 咬合メカニカルストレスによる歯周組織形成・成熟の解明と応用:マウスを対象とした咬合喪失モデル、および咬合負荷モデルを作製し、対象歯の歯周組織の退縮変化・組織破壊を観察中である。 2. バイオ人工歯根の移植システムの開発:マウスモデルにて、コバルトクロム線を用いた咬合刺激伝達を可能とする移植デバイスを製作した。移植デバイスとマウス用ハイドロキシアパタイトコーティング人工歯根を組み合わせた顎骨移植を行うことにより、インプラント周囲に天然歯と同等の歯周組織形成が認められた。また免疫化学染色により、インプラント周囲の歯根膜組織にはニューロフィラメント陽性の末梢神経線維が確認されており、バイオ人工歯根が神経伝達を可能とする生理機能を有する可能性が示唆された。 3. 大型動物モデルにおけるバイオ人工歯根の検証:インプラント企業と連携し、すでに市販されているヒト用インプラントのネジ切り構造を無くしたバイオ人工歯根の試作品を開発した。本課題のバイオ人工歯根は、従来の骨結合型インプラントとは本質的に結合様式が異なることから、天然歯の歯根表面に類似した表面性状を付与するために、すでにインプラント臨床で使用されている、ハイドロキシアパタイトのコーティングを付与した。また、マウスモデルにて実証された咬合刺激伝達を可能とする移植デバイスを、ヒト臨床にも使用可能なレベルで試作品(実用化型メカニカルストレス伝達デバイス)の開発を行った。歯科臨床で使用される金属材料の直径や構造を変化させて、効率的に咬合刺激が伝達可能な設計を付与した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に実施予定であった研究項目は、概ね実施されており、次年度に向けたイヌ試験の準備も進められている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究成果をもとに、研究計画に沿って実験を進めていく。本研究課題の主となる大型動物モデルにおけるバイオ人工歯根に必要な移植用デバイス、および人工歯根の試作品開発も進められており、今後の研究実施により成果を検証するとともに、その結果を受けて改良品の製作にも注力していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた設備備品費(マイクロ冷却遠心機)が別の予算で購入可能であったこと、旅費(調査旅費および研究旅費)の支出の一部も別予算で賄われたため。前年度から繰り越された予算は消耗品費として計上し、以下の実施計画に沿って行う。 ①咬合メカニカルストレスによる歯周組織形成・成熟の解明と応用 (担当:大島):本項目では、マウス対合歯を削合した咬合不全モデルと、マウス歯牙に樹脂添加を行った咬合過高モデルを作製し、歯周組織の破壊および治癒・再生過程において変動する分子を抽出する。②バイオ人工歯根の移植システムの開発 (担当:大島・松香):バイオ人工歯根の実用化に向けた課題として、「歯周組織形成を可能とする細胞シーズの取得・利用」と、「効率的な歯根膜形成を可能とする移植技術の開発」を行う。具体的には、金属・樹脂材料を成型し、固有咬合によるメカニカルストレスを間接的に人工歯根に伝達可能な移植用デバイスの最適化を行う。また、本技術により生着したバイオ人工歯根に対して、実験的矯正および末梢神経の侵害刺激試験にて、バイオ人工歯根が生理機能を有するかを解析する。③大型動物モデルにおけるバイオ人工歯根の検証 (担当:大島・井上・秋山):開発デバイスとヒト用インプラントを融合し、イヌモデルへの移植にて評価を行い、歯周組織を介したバイオ人工歯根の生着をレントゲンや組織学的解析、電子顕微鏡により解析する。
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