研究課題/領域番号 |
19K10209
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
田上 直美 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (70231660)
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研究分担者 |
鮎瀬 てるみ 長崎大学, 病院(歯学系), 助教 (00284703)
鮎瀬 卓郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (20222705)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 固定性補綴装置 / 脳性麻痺 / 生存分析 |
研究実績の概要 |
令和2年度では、障害者の固定性補綴装置がどのような変数によって生存率に影響を受けるかを解明するため、後ろ向きコホート研究を実施した。 まず、パイロット研究として、過去に全身麻酔にて固定性補綴治療を行った障害者60名、288装置を対象として選択した。その後、試験条件に合致しない症例を省き、51名の233装置について、装置の脱離、除去、抜歯を失敗と見なした混合モデルによる生存分析(共有フレイルティモデル)を行った。その結果、全身麻酔で実施した固定性補綴装置の生存率は健常者の今までの報告より低かった。また、脳性麻痺の有無は生存分析に影響を及ぼし、脳性麻痺のない障害者に対するハザード比は5.60であった。 そこで、過去に歯科治療目的で申請者の所属する病院を受診した脳性麻痺患者の中から、固定性補綴装置を装着した患者38名、157装置を選択、試験条件に合致しない症例を省き、36名、155装置について更に生存分析を実施した。その結果、ブリッジのハザード比は単冠に対し2.32、てんかん合併のハザード比は非合併に対し3.76であることが判明した。 本研究の結果から、重度障害者の固定性補綴装置の生存率が低いこと、また脳性麻痺患者の固定性補綴装置には失敗が起きやすく、またその原因としててんかん合併や補綴装置の設計などが関与していることが判明した。本研究は、長崎大学病院臨床研究倫理委員会にて許可され実施した(18021902-2)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該研究はin vitro, in vivoの双方で推進していく予定であったが、令和元年までにin vitro研究はほぼ完遂できた。また、臨床研究も予定通りに進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、別の疾患に関する後ろ向きコホート研究を実践し、更なるエビデンスを得ると共に、前向きな評価についても模索する。また、今まで得られた研究結果の発表、論文化に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
計上していた国内外への出張旅費が新型コロナウイルス感染症の蔓延により実施できなかったため、次年度使用額が生じた。 次年度に、当初予定していた今年度の国内外への出張を実施することで使用予定である。
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