研究課題/領域番号 |
19K10209
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
田上 直美 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (70231660)
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研究分担者 |
鮎瀬 てるみ 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (00284703)
鮎瀬 卓郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (20222705)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 固定性補綴装置 / 生存分析 / 脳性麻痺 / 知的能力障害 |
研究実績の概要 |
令和3年度は,脳性麻痺患者の固定性補綴装置における支台歯抜歯リスクに関する検討および知的能力障害(Intellectual Disability:ID)患者の固定性補綴装置の生存率の評価を行った. 脳性麻痺について:対象は1984年から2017年に固定性補綴装置を装着した脳性麻痺患者35名の268支台歯とした.年齢,性別,合併疾患,補綴装置の種類,歯式,薬物的行動調整等に関するデータを収集し,カプランマイヤー生存曲線を描記した.その後,共有フレイルティ分析を行い,有意水準を5%として信頼区間と共にハザード比の算出を行った.分析の結果,268支台歯中22歯が抜歯となり,支台歯の10年生存率は92.1%,20年生存率は78.1%であった.ブリッジにおけるハザード比は単冠と比較して低く,0.35倍であった.脳性麻痺患者の固定性補綴装置の場合,ブリッジは脱離や除去となる場合が多く,単冠では抜歯に至りやすいと考えられた. IDについて:医科で診断されたID患者を対象とし,固定性補綴装置を装着した76名,315補綴装置を評価した.脳性麻痺研究と同様の項目について共有フレイルティ分析を行った.重度または最重度のIDを持つ患者は母集団の3/4であった.プラークコントロールレコードは平均66.8%で,IDのない患者の過去の報告より高い値であった.最大観察期間は31.0年,対応する生存率は32.5%であった.装置の10年,20年の生存率はそれぞれ59.4%と48.6%であった.静脈内鎮静法下での歯科治療は補綴装置の生存に関連しており,ハザード比は薬物的行動調整を使用しない治療の0.49倍(p=0.0130)であった.装置失敗の最も重要な危険因子は装着時の年齢で,31歳以上は20歳以下の2.82倍(p=0.0031)のハザード比であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症による診療制限により,事前に設定した臨床研究のサンプルサイズに至らなかったため.
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今後の研究の推進方策 |
ID患者の支台歯の生存率に関する臨床研究を遂行予定である。研究計画の変更はないが、サンプルサイズの確保が課題であるので、診療制限のない期間に多くの観察ができるよう研究体制を整える予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍において研究計画がやや遅れたことと、発表の機会を逸したことにより、旅費が発生しなかったため、繰り越し金は次年度の学会参加のための旅費に充てる。
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