研究課題/領域番号 |
19K10212
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
末廣 史雄 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (40524781)
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研究分担者 |
西村 正宏 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (00294570)
石井 正和 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (00456683)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | MSC / MBMSC / 顎骨骨髄由来間質細胞 / 骨再生 / 骨形成マーカー |
研究実績の概要 |
本研究期間以前から我々の研究グループでは継続的に顎骨骨髄由来間質細胞(Maxillary/Mandibular bone marrow stromal cell:MBMSC:MBMSC)の採取を行っ ているが、合計7名のドナーから採取したMBMSCの増殖を確認した。増殖したMBMSCはin vitroでの細胞増殖能、細胞表面抗原解析、ALP活性定量およびアリザリンレッド染色による骨分化能の確認を実施している。 これらのMBMSCを骨補填材、コラーゲンと混和して免疫不全マウスに移植し、各細胞株のin vivo骨形成能を検討した。細胞移植の結果、骨形成能の高い細胞株もあれば、骨形成能がわずかな細胞株も存在し、in vitroでの骨分化能とin vivoでの骨形成能が必ずしも一致しないことが明らかとなった。 これらのin vivo骨形成能の違いを判定するため、各細胞株の未分化状態での培養上清を抗体アレイにかけ、骨形成能の高い細胞株と骨形成能の低い細胞株で分泌のパターンが異なるタンパク質の選定を行った。選定したタンパク質はELISA法とrealtimeRT-PCRにて定量を行い、骨形成能が低い細胞からの分泌量が多く、骨形成能が高い細胞からの分泌量が少ない物質CHI3L1を選定した。 CHI3L1を培養液中に添加することでMBMSCの増殖能や骨分化能、血管内皮細胞および線維芽細胞の増殖能と細胞遊走能検討を行った。CHI3L1はMBMSCの増殖能、骨分化能には影響を及ぼさなかった。血管内皮細胞の増殖能には影響を及ぼさなかったが細胞遊走能は促進した。線維芽細胞では増殖能および細胞遊走能を促進した。これらの結果からCHI3L1はMBMSCの骨形成に直接的に作用する訳ではなく、周囲の血管内皮細胞や線維芽細胞を局所に呼び寄せることで骨形成を阻害していることが推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画R2年度以降の目標である骨形成細胞マーカーの選定および、選定した物質の作用まで明らかにできている。本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
選定した物質CHI3L1がMBMSCの骨形成のネガティブマーカーとして利用できる可能性が示唆されたが、CHI3L1が骨形成を阻害するメカニズムはまだ解明されていない。 今後はCHI3L1の生体内での骨形成への影響を調べるために、移植した細胞が実際に局所でどの程度CHI3L1を放出しているのか、移植する細胞のCHI3L1を抑制あるいは過剰発現させることで骨形成能に影響を及ぼすのか、検討を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で学会が中止やWeb開催となり旅費が必要なくなったため研究費使用額が抑えられている。繰越金は動物実験や論文掲載費用に充てる計画である。
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