研究実績の概要 |
維持装置を付与したジルコニアフレームワークに,異なる歯冠色材料を前装して製作したインプラント上部構造の破壊強度を評価した。 下顎第一大臼歯欠損症例に対するインプラント治療を想定し,インプラント体を常温重合レジンに包埋後,アバットメントを締結した。インプラント上部構造のフレームワークはジルコニアとし,アバットメントをスキャニング後,フレームワークを設計した。設計したSTLデータをもとに,ジルコニアディスクを用いてフレームワークを製作した。フレームワークは,維持装置(リテンションビーズ;不二ジルコンビーズ, 不二製作所)付与なし(ZF)と付与あり(RB)の2群とした。さらに,使用する前装材料によって,陶材を前装した群(ZF-PLおよびRB-PL群)と間接修復用コンポジットレジンを前装した群(ZF-CRおよび RB-CR群)に分け,計4条件とした。なお,RB-PL群では,フレームワーク上にシェードベース用陶材を塗布し,その上に維持装置を付与後,焼成した。RB-CR群では,グレーズ用陶材の上に維持装置を付与した。全ての補綴装置内面およびアバットメント表面に対してアルミナブラスト処理とプライマー処理を行い,補綴装置をアバットメントにレジン系装着材料を用いて装着した。装着後,37 ℃精製水中に24時間保管し,破壊強度試験を行った。 RB-CR群は,ZF-CR群と比較して有意に高い破壊強度を示した。これは,フレームワークとコンポジットレジン間に良好な機械的嵌合が獲得できたため,フレームワークと前装材料が強固に一体化し,破壊強度が高くなったと考えられる。一方,RB-PL群は,ZF-PL群と比較して有意に低い破壊強度を示した。これは,リテンションビーズが前装陶材間の結合を阻害し,リテンションビーズ周囲に脆弱な界面を形成したため,補綴装置の破壊強度が低下したと推察される。
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