研究課題/領域番号 |
19K10222
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
鈴木 哲也 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 特任教授 (60179231)
|
研究分担者 |
大木 明子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (10345225)
高橋 英和 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (90175430)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 全部床義歯 / 平均形態 / 相同モデル / CAD/CAM |
研究実績の概要 |
今期はCAD/CAMシステムに適応する義歯形態ライブラリを作成するために相同モデル理論を応用し、良好に機能している下顎全部床義歯を顎堤の吸収程度により分類し、それらの平均形態の比較から、義歯の三次元的形態の特徴を検討した。 全部床義歯を、日本補綴歯科学会症型分類の顎堤の高さに基づいて、5 mm以上をHigh、0 mm以上5 mm未満をMiddle、0 mm未満をLowの3種類に分類した。技工用スキャナーで複製義歯をスキャンし、相同モデル作成ソフトウェアとその支援ソフトウェアを用いて相同モデルに変換した。さらに顎堤の高さ別に平均形状を作成した。顎堤分類ごとの平均形状を粘膜面から見た画像から、画像処理ソフトウェアを用いて義歯床外形線を抽出し、それらを重ね合わせて比較したところ、下顎全部床義歯の外形は、顎堤の吸収によらずほぼ同様であった。また、三次元形状データ編集ソフトウェアを用いて、Middleの平均形状をリファレンスとし、HighとLowの平均形状をベストフィット法により重ね合わせ、形態偏差マップを作成した。、Middleを基準としてHighは左側床翼で約1.83 mm、右側床翼付近は約+1.50 mm、舌小帯付近は約-1.66 mmの差を示し、Lowは、左側床翼は+0.89 mm、右側レトロモラーパッドの付近は+0.40 mm、舌小帯の付近は-1.02 mmの差を示した。 本研究の結果、良く機能している下顎全部床義歯の床外形線は、顎堤吸収の程度によらず類似しており、研磨面の形態の差はあまりなかったことから、理想的な外形は類似していることを相同モデルで示すことができた。本研究で得られた平均形態は顎堤条件によらずに使用でき、CAD/CAMシステムにおける全部床義歯標準形態のライブラリの一つとして義歯の設計に利用できる可能性が示唆された。
|