研究課題/領域番号 |
19K10234
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
都築 尊 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (70330967)
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研究分担者 |
後藤 加寿子 福岡医療短期大学, 歯科衛生学科, 准教授 (60389418)
堤 貴司 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (70736652)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | メカノストレス / 認知機能 / 口腔上皮細胞 / イオンチャネル |
研究実績の概要 |
口腔ケアなどの口腔粘膜の刺激が認知機能に与える影響を調べる目的で、マウス口蓋歯肉の機械的刺激モデルを製作し、in vitro, in vivo双方からの検討を行った。 生後6週齢雄ddYマウスの左上臼歯を抜歯した後、4週間治癒を待ち、左側下顎臼歯部に歯科用接着性レジンセメントを添加して、咬合のたびに歯肉を刺激する歯肉刺激モデルを製作した。抜歯して対合歯にレジンセメントを添加した群を実験群、抜歯のみ行った群をコントロール群として7日間観察を行った。 コントロール群の組織学的観察では,ヘマトキシリン・エオジン染色にて一定の幅の重層扁平上皮が観察された。下層の結合組織にみられる線維芽細胞の配列に乱れは観察されなかった。一方で実験群においては、重層扁平上皮の幅に乱れが生じ、多数の血管新生が観察された。線維芽細胞の配列は不規則で、丸い形態の核が多数観察された。 低酸素の指標であるHIF-1αの免疫組織学的観察においては、コントロール群では観察されなかったが、実験群において基底層周囲の上皮細胞に強いシグナルが観察された。物理的刺激の指標として、機械的刺激受容チャネルであるTRPV3、PIEZO1、PIEZO2の発現を調べた。いずれも上皮細胞の基底層に発現が確認された。これらのことから、口腔粘膜の物理的刺激により歯肉上皮細胞は基底層において低酸素環境となると同時に、機械受容チャネルが活性化する可能性が示唆された。 次に細胞レベルでの機能発現を調べるために、マウス口腔粘膜上皮細胞(C57BL/6細胞株 : CellBiologics社)を用いて機械的伸展刺激を行った。12時間以降においてHIF1-α、type I collagen、TRPV3、Piezo1、Piezo2 mRNAの一過性の発現上昇が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脳の組織切片製作が難航しており、他研究所の技術的サポートを受けるために出向している時期があったため、脳の組織切片はまだ完成していない。
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今後の研究の推進方策 |
アルツハイマー病自然発症マウスを購入し、飼育環境が完備された。今月からin vivoにおける抜歯と粘膜刺激モデルをそれぞれ製作し、新奇物質探索試験および放射状迷路試験により行動実験を行う。 in vitroでは、歯肉上皮細胞を用いてTRPV3、Piezo1、Piezo2のノックアウトおよびノックインを行い、機械的伸展刺激での発現変化を観察する。 アルツハイマー病自然発症マウスの口蓋歯肉から細胞を単離し、機械的伸展による反応を観察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度はCOVID-19の影響で学会はすべてオンラインとなり、旅費がまったくかからなかった。次年度も旅費はかからない予定であるので、すべて物品・消耗品で計上する予定である。
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