研究課題/領域番号 |
19K10243
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
真柄 仁 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (90452060)
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研究分担者 |
井上 誠 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00303131)
増田 裕次 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 教授 (20190366)
堀 一浩 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (70379080)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 口腔運動 / 嚥下運動 / 経頭蓋磁気刺激 / 口腔機能低下症 |
研究実績の概要 |
超高齢社会が進む日本において、摂食嚥下障害を抱える要介護高齢者への臨床対応は医療と介護の重要課題の一つである。嚥下障害患者に対する臨床では、口腔周囲の運動訓練が行われることがあるが、その運動改善の機序や嚥下機能に対する効果について検証する必要がある。本研究は、顎口腔運動トレーニングがもたらす嚥下運動関連の神経可塑性、運動の転移メカニズム解明し、摂食嚥下障害や口腔機能低下症の対応として、顎口腔運動トレーニングの有効性と、顎口腔運動と嚥下運動の機能連関について神経生理学的に実証することを目的とした。 昨年度は、口唇運動トレーニング後に関する検証を行った。健常者14名を対象に、上唇および下唇に表面筋電計を装着した。5秒間の口唇最大閉鎖の閉鎖力および筋活動を計測後、口唇圧計を用いて、最大口唇閉鎖力の50%の力を指向性に0.2秒発揮したときに成功とするトレーニングタスクを2分間、計3セット行い、その成功回数を計測した。その前後で大脳皮質感覚運動野に経頭蓋磁気刺激を適応した際に生じる運動誘発電位を評価した。最後に5秒間の口唇最大閉鎖の閉鎖力および筋活動を計測した。 結果、2分間の口唇閉鎖トレーニングを実施したところ、成功回数の平均値は全体として増加する傾向を示したが、上下口唇の運動誘発電位の振幅は明らかな増加を示さなかった。しかし、成功回数の増加率と運動誘発電位の増加率の比を被検者間で検討すると、有意な相関関係が認められた。これは、成功回数が増加している者ほど、運動誘発電位の振幅の増加が認められたことを意味し、皮質運動路の興奮性が増加することが口唇運動タスクの調整に関わっている可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、口唇トレーニングタスクの成功回数と運動誘発電位の記録、およびその関係性を示すデータが得られている。
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今後の研究の推進方策 |
口唇トレーニングタスクについては、被検者数を増やすとともに、得られた筋電図の解析を進める。タスクの成功回数が不良の者に対しては、筋疲労の影響を考察する。また、咽頭筋の運動誘発電位に対する変化、嚥下運動に対する転移の有無についても検証を行う。更に、舌トレーニングについても同様の検証を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品の購入や被検者に対する謝金支払いが、次年度に一部繰り越しとなったため。
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