研究課題/領域番号 |
19K10252
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
川西 克弥 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (10438377)
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研究分担者 |
豊下 祥史 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (20399900)
藤井 博匡 北海道医療大学, その他, 客員教授 (70209013)
越野 寿 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (90186669)
長澤 敏行 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (90262203)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 口腔機能低下症 / 咀嚼 / MRI |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,歯周病による咀嚼不全や抜歯に附随して生じる欠損歯列の放置などの口腔機能低下が脳機能に及ぼす影響について,脳内神経活動の依存的な変化をリアルタイムでイメージングできるマンガン造影MRI(MEMRI)による画像解析により検証することである。 2020年度は6週齢のc57BL/6Jマウスに対し、慢性持続的に低濃度の塩化マンガンが徐放できる装置を体内に埋入し、120mM塩化マンガンをTotal 0.2mlを1週間継続して投与したのち、脳内MEMRI信号が検出できることを確認した。 2021年度および2022年度は、上顎両側臼歯部を便宜的に抜去する欠損歯列モデルマウスと上顎両側臼歯部を縫合糸で結紮した歯周病モデルマウスを作製した。健常マウスおよび各モデルマウスの抜歯窩の治癒および歯周病罹患を認めた段階で、慢性持続的に一定量の塩化マンガンを徐放できる装置を体内に埋入する処置を行った。その後、飼育飼料は固形飼料を給餌させ一週間単独飼育した。1週間後に麻酔下において体内から装置を除去し、塩化マンガンがすべて徐放されたことを確認し,脳内MEMRI信号をした。得られた画像は、Image Jソフト(NIH)を用いて解析した。統計学的解析には、SPSS Statistics ver 26.0(IBM Japan)を用い、有意水準は危険率5%未満とした。 MEMRI測定部位は、過去の研究報告を参考に咀嚼機能と関連が深い脳組織の領域を対象とした。歯周病モデルマウスでは、被殻および海馬でのMEMRI信号強度が健常マウスと比較して有意に低い値を示した(p < 0.05)。一方,欠損歯列モデルマウスでは、海馬でのMEMRI信号強度が健常マウスと比較して有意に低い値を示した(p < 0.05)。 以上より、口腔機能低下による脳神経活動への変化をMEMRIによって視覚的に検証することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症に伴う他業務が増えたため、研究を行う回数が減少し、当初予定していた研究の遂行に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の方策として、歯列欠損や歯周病が長期間放置されることによる脳内への影響について、固形飼料を給餌する高齢モデルマウスを用いてMEMRIで検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究がやや遅れており、成果発表は1件のみであったため、旅費の支出は少なくなり、そのため物品購入に充てた。研究に必要な器材や材料は概ね整っているため、2023年度はこれまでに遅れていた研究を計画的に遂行できる予定である。
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