研究課題/領域番号 |
19K10254
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
飯沼 利光 日本大学, 歯学部, 教授 (10246902)
|
研究分担者 |
伊藤 智加 日本大学, 歯学部, 講師 (40459912)
西尾 健介 日本大学, 歯学部, 助教 (50780558)
網干 博文 日本大学, 歯学部, 教授 (60212560)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | オーラルフレイル / フレイル / 口腔機能低下症 / 超高齢者 |
研究実績の概要 |
日本は超高齢社会を迎え,高齢世代の健康寿命の延伸への期待が高まっている。その点からも,オーラルフレイルとフレイルとの関連性を解明することが重要である。この解明には、対象とする超高齢者の口腔及び全身の健康状態の的確な把握が必須事項となる。そこで本研究ではマスデータの獲得を目指した。これには,調査を行う多くの歯科医師が同一の基準でサンプリングを行える一定レベル以上の測定能力を有することがポイントとなる。そこで,調査参加予定の歯科医師を対象に作成した口腔状態,身体機能状態および精神状態に関する同一アンケートを用いること,さらに様々な機器を用いた測定力のレベルアップが重要と考え,一部の調査実施歯科医師を対象にプレ測定を実施した。とくに,咬合力測定装置であるプレスケール,口腔乾燥測定装置であるムーカスさらに咀嚼能力測定装置であるグルコセンサーを実際に使用してもらい,操作方法に習熟してもらうと同時に,この事前訓練に参加できない歯科医師に対しては,操作ガイドDVDを配布し,本調査に参加するための測定能力向上を促した。 本研究は,日本大学歯学部同窓会との協力により,都市ならびに地方を含めた日本全国20地区での調査により,被験者1000名規模のビックデータの採得を目指したが,現時点では実施の協力を得られた地区は半分以下となっている。これは,コロナ禍で被験者ならびに測定者が測定を躊躇しているためである。そのため,日本大学歯学部同窓会学術委員会との緊密な連携の基,当初の計画通りの実施歯科医師数の確保のため鋭意努力している。その結果,現在当初3年間で予定していた被験者数には遠く及ばないものの,約200名の測定を実施し,現在も賛同の得られた地域に置いて計測を継続している。令和4年度中には500名の計測を実施,当初の予定に従い分析を行い,広く社会に向け成果を公表する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
申請時での研究計画で示したように,日本大学歯学部同窓会地方支部との協力により,都市部ならびに地方を含め日本全国20地区での調査により,被験者1000名規模のビックデータの採得を行うため,日本大学歯学部同窓会との実験遂行のため打ち合わせを定期的に行っている。本研究の最大の注目ポイントは,80歳以上の超高齢者を対象に,全国規模でしかも地域のかかりつけ歯科医師が調査を行うことである。そのため,日本全国20か所の区分けも終了し,調査協力歯科医師の人選も順調に行ってきた。しかし,1昨年1月からの新型コロナ感染症の蔓延に伴い多くの調査担当歯科医師から,調査自体への感染リスクを完全に否定できないため,現状での実施への疑問が示されたため,この状況が落ち着くまで実施を延期すべきとの意見が多数認められた。 このような状況から,調査再開への準備を万全に整えたうえで,状況の改善を期し待機している状況であったが,地方の一部の地域においては感染状況が落ち着きを取り戻し,調査遂行に対し協力が得られ始めている。その為,研究期間の延長を願い出ることにより,調査に遅れが出た期間を取り戻すべく実験計画の練り直しを行った。 現在すでに,東北地方や中国地方の調査協力歯科医師から,採取したデータの回収が始まっている。現在,採取できた被験者数の総数は200名強であるため,令和4年度で調査総数1000名を達成することは非常に困難な状況となっているが,まずは早期に500名の確保を目指している。今後,コロナ感染症の再度の蔓延による緊急事態宣言ならびに,まん延防止等重点措置の発出がなければ,この被験者数の確保は達成できるものと考えている。 また保有している調査済みデータに関しては、当初の実験計画に従いデータ解析を始めている。その分析結果の一部については、本年5月に行われる専門学会学術集会において報告を行う予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
既に実施に向けてのアンケートに加え,口腔機能ならびに身体能力測定に対する器具、器材の準備は整っている。全国において選定した,調査対象地区における協力歯科医師もほぼ確保できている。 残された課題は,調査歯科医師がかかりつけ歯科医師となっている,自院に来院する80歳以上の超高齢者が,当初の予定どおり本調査へ参加協力していただくことである。今回の感染による影響は,超高齢世代の身体のみならず,心理面にかなりのダメージを与えており,家から出る事に対し恐怖感を覚えるものも存在している。そのため,調査への協力をキャンセルしたものも数多く存在している。この悪影響を少しでも排除するため,調査を行う協力歯科医師とのZOOM等によるリモート打ち合わせの回数を増やしており,より安心・安全な調査環境の整備に努力している。さらに,現在分析が終わっているデータ解析結果をもとに,各地域での本調査がもたらすであろう健康寿命延伸に向けた効果に関する説明会を協力歯科医師と行っており,今後も一人でも多くの被験者の協力をこぎつけられるよう鋭意努力する。 このような状況ではあるが,新型コロナ症感染状況の改善が段々と認められてきていることから,今まで以上にペースを上げて調査が可能となった地域から調査を進めて行きたい。 なお調査再開時,当初の実験計画に則り必要とする調査キットは,これまでと同様に郵送にて各地域協力歯科医師のもとに配布し,統一した条件下にて調査を行う。 さらに,調査のスケジュールが大幅に遅れたため,当初の実験計画実施でのサンプリングが困難となったため,研究期間の延長を願い出ており,令和4年度までの調査ならびに分析期間の延長の許可を頂いている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究は,80歳以上の高齢者を対象に,都市部ならびに地方を含め日本全国20地区での調査により,ビックデータの採得を行う。これには,日本大学歯学部同窓会との緊密な連携により,日本各地の歯科医師からの協力を得る体制を確保している。しかし,1昨年1月からの新型コロナ感染症の蔓延に伴い多くの調査担当歯科医師から,調査自体への感染リスクを完全に否定できないため,現状での実施への疑問が示されたため,この状況が落ち着くまで実施を延期すべきとの意見が多数認められた。 このような状況から,調査を一時中断し,コロナ感染状況の改善を期し待機している状況となった。その為,使用予定であった検査材料や分析のため確保した試薬等の使用が少なかったことに加え、これに付随する器材等の移送費用,本研究に係る研究者が現地に赴く交通費,ならびに宿泊費,さらに学会等での発表に要する資金の必要がなかったため残金が生じた。 繰越金については,調査活動再開時に現地に赴く際の交通費,調査に際し必要となる器材等の調査会場への移送費ならびに,本研究結果を学会あるいは誌上にて発表する際に使用する予定である。
|