研究課題/領域番号 |
19K10261
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
岸本 直隆 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (50610911)
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研究分担者 |
山田 友里恵 新潟大学, 医歯学系, 助教 (20804537)
瀬尾 憲司 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40242440)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | cell extract / 細胞抽出物 / 脱分化脂肪細胞 / 脂肪組織由来幹細胞 / 再生医療 / 末梢神経障害 / 顔面神経麻痺 |
研究実績の概要 |
マウス脂肪組織の中に含まれる成熟脂肪細胞のみを抽出し、脂肪の浮力を利用した天井培養を行い、脱分化脂肪細胞および脂肪組織由来幹細胞を獲得した。両細胞に凍結・解凍処理、遠心分離操作を加え、脱分化脂肪細胞由来のcell extract(CE-DFATs)および脂肪組織由来幹細胞由来のcell extract(CE-ADSCs)を獲得した。これらのcell extractに含まれる血管新生関連タンパク、サイトカインの発現を網羅的に解析し、血管内皮増殖因子、肝細胞増殖因子、インターロイキン-1 レセプターアンタゴニストなどを発現していることを確認した。 シュワン細胞(末梢神経系の髄鞘を形成する細胞)をCE-ADSCsを添加した培地で培養することで、シュワン細胞数が有意に増加したが、CE-DFATs添加培地ではシュワン細胞数への効果は認められなかった。しかしシュワン細胞に含まれるグリア線維性酸性タンパク(シュワン細胞のマーカー)の発現量はどちらのcell extractを添加しても、添加しない場合と比較して有意に増加した。 ラットの脊髄後根神経節由来の神経細胞をCE-ADSCsを添加した培地で培養することで、添加しない場合と比較して、神経細胞の突起伸長効果が認められたが、CE-DFATs添加培地では神経細胞の突起伸長効果は認められなかった。 このようにどちらの細胞由来cell extractも神経系細胞へのポジティブな効果を有しており、末梢神経障害である顔面神経麻痺に対する新しい治療法開発へ有用と考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脂肪組織からの細胞樹立、細胞からのcell extract作成、cell extractに含まれる各種タンパクの解析、cell extractのシュワン細胞、神経細胞に対する効果の解析を完了することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は実験動物に対し、cell extractを移植し、In Vivoでの効果を検討していく。具体的には全身麻酔下でラットの耳介前部に切開を加え、顔面神経頬筋枝を露出させた後、頬筋枝を約10 mm切除する。切除部位に生食および両cell extractを投与し、手術から12週後までFacial Palsy Scoreを測定することで、顔面神経の再生過程を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により動物実験に一部制限がかかり、購入匹数が予定より少なくなったため。動物実験の制限が解除されれば、差額分を動物購入費に充てる。
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