研究課題/領域番号 |
19K10261
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
岸本 直隆 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (50610911)
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研究分担者 |
佐藤 友里恵 (山田友里恵) 新潟大学, 医歯学系, 助教 (20804537)
瀬尾 憲司 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40242440)
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研究期間 (年度) |
2022-11-15 – 2024-03-31
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キーワード | 脂肪組織由来幹細胞 / 脱分化脂肪細胞 / 細胞抽出物 / 末梢神経再生 |
研究実績の概要 |
全身麻酔下でマウスの脂肪組織を採取し、酵素処理後に遠心分離を行うことでストローマ分画(SVF)を獲得し、SVFをプレートに播種することで脂肪組織由来幹細胞(ADSCs)を樹立した。ADSCsに凍結・溶解操作を繰り返し、遠心分離後の上清をADSCs由来細胞抽出物(ADSCs-CE)として保存し、以下の研究に用いた。 ラット不死化シュワン細胞を購入し、培地へADSCs-CEを添加したところ、タンパク濃度を12.5 μg/mLに調整したADSCs-CEにのみ、シュワン細胞増殖効果が認められた。一方、95度で60分間加熱し、タンパクを不活化したADSCs-CEの添加では、シュワン細胞の増殖効果は認められなかった。また培養したADSCsからから細胞膜、細胞質、核、細胞内小器官それぞれの分画を抽出し、シュワン細胞培地へ添加した際、細胞膜分画を添加した群ではシュワン細胞の増殖効果が認められたが、その他の成分を添加した群では効果は認められなかった。以上の結果から、ADSCsの細胞膜分画、およびADSCs-CEに含まれるタンパク(もしくはADSCsの細胞膜に含まれるタンパク)がシュワン細胞の増殖効果をもたらす因子(active component)である可能性が示唆された。シュワン細胞は末梢神経の髄鞘形成する細胞であり、感覚ニューロンの生存や機能の維持に必要なサイトカインなどを産生している。本研究の成果からシュワン細胞の増殖にポジティブ効果をもたらすADSCs-CEは、末梢神経再生に有用である可能性が示された。
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