研究課題
マウス扁平上皮癌細胞株SCC7細胞由来の4系統の亜株細胞を正常免疫を有するC3H/HeJマウス、すなわち、シンジェニックマウスの頭頂部に細胞を移植し、それ らの骨吸収状態をマイクロCT撮影および組織学的に評価した。4系統の亜株のうち最も骨吸収をきたす細胞株(SCC7A株)と最も骨吸収が少ない細胞株(SCC7B 株)を研究に用いた。2つの亜株細胞は遺伝子配列的に同一細胞であった。 SCC7A亜株腫瘍の骨吸収部位に発現する遺伝子とSCC7B亜株腫瘍の骨吸収に乏しい部位に発現する遺伝子の特徴をRNAシークエンス法で比較検討した結果、SCC7A亜 株腫瘍の骨吸収部にはインターロイキン7(IL-7)が高発現していた。SCC7A亜株の腫瘍の骨吸収は、抗LI-7中和抗体の局所投与あるいは腹腔内投与で抑制された ため、SCC7A亜株細胞のがん微小環境における骨吸収機序として IL-7を軸とした解析に取り組んだ。SCCA亜株腫瘍とB亜株腫瘍の骨吸収の差異、破骨細胞形成の 差異、骨吸収関連遺伝子発現の差異、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の差異について検討した。その結果、以下の結果を得た。1シンジェニックマウス移植腫瘍では SCCA亜株の骨吸収と破骨細胞形成が見られたが、ヌードマウス移植腫瘍ではなかった、2シンジェニックマウス移植腫瘍のTILをCD3抗体染色で評価すると、 SCC7A亜株腫瘍内のに有意なT細胞浸潤が観察された、3シンジェニックマウスのSCC7A亜株腫瘍のRANKL遺伝子発現、TRAP遺伝子発現、カテプシンK遺伝子発現は 抗IL-7中和抗体投与により著しく低下した。4TILのFACS解析のよりCD4陽性T細胞がRANKLを発現した。 SCC7A亜株が産生するIL-7がT細胞のRANKL発現を誘導し、破骨細胞形成、骨吸収に関与することが考えられた。
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