研究課題/領域番号 |
19K10268
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
工藤 隆治 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (10263865)
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研究分担者 |
福田 直志 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (10804156)
宮本 洋二 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (20200214)
玉谷 哲也 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 非常勤講師 (30274236) [辞退]
工藤 景子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (70380029)
生島 仁史 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (90202861)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 放射線骨壊死 / 動物実験 / 抜歯 |
研究実績の概要 |
口腔癌において、放射線治療は機能と形態温存の面で優れた治療法である。しかし、その晩期有害事象として放射線性顎骨壊死がある。放射線性顎骨壊死の動物実験モデルについては、幾つかの論文があるが、骨密度の減少や組織検査による破骨細胞の増加と骨芽細胞の減少をエンドポイントとして評価しているだけで、臨床例を模倣した骨露出を伴う放射線性顎骨壊死をエンドポイントとして評価した論文はない。 そこで、本研究では、「放射線照射」と「抜歯」により骨露出を伴う放射線性顎骨壊死モデルの確立を目指す。メイヨークリニックと UCLAから、ラットに 20-30Gyの照射と抜歯を行い、放射線性顎骨壊死をμCTと病理組織学的に評価した報告がある。これらの報告はすべて高線量率 Ir-192 を用いたRALSによるγ線照射である。しかし、頭頸部癌に対する放射線治療のほとんどがX 線を用いて行われているため、実臨床と同様の条件で実験を行うことに意義があると考える。 そこで、(i)X線を用いた外部照射後に、ラットの抜歯を行うこと、および(ii)骨露出の有無により放射線性顎骨壊死を評価することで、新たな放射線性顎骨壊死モデルの確立を目指している。このモデルを用いて、放射線性顎骨壊死の予防法と治療法を開発する。すなわち、スタチンの経口投与による放射線性顎骨壊死の予防実験と治療実験、スタチンの局所投与による放射線性骨顎壊死の予防実験と治療実験まで行う予定である。以上の予防法や治療法の有用性が確認され、臨床応用が可能となれば、患者のQOLが向上するだけでなく、放射線治療の適応の拡大がはかられる。さらに、医療経済学的にも有意義である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度は、ラットの放射線性顎骨壊死モデル作製を目的としていた。1回目の実験として、10匹のSDラットの片側下顎骨にX線を25Gy照射し、その1週間後に第一大臼歯の抜去し、その4週間後に口腔内を観察した。生存ラットは計6匹で、骨露出は認められなかった。このため、2回目の実験として、10匹のSDラットの片側下顎骨の第一大臼歯の露随を行い、1週間後にX線を25Gy照射し、その1週間後に第一大臼歯を抜去し、その4週間後に口腔内を観察した。生存ラットは2回目も計6匹で、骨露出が認められたが、残根も認められた。現在、露随と放射線照射により、もろくなったラットの歯の抜去法を検討しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
当初、ラットの放射線性顎骨壊死モデル作製とスタチンの培養細胞に及ぼす影響の評価の検討を終える予定であった。まずはラットの顎骨壊死モデルを確立することが必要である。しかし、現在、露随と放射線照射により、もろくなったラットの歯の抜去法を検討する必要がある。本研究の動物実験は口腔外科医が行っているが、それでも現状のままでは抜き去りは困難である。シスプラチン、ステロイドとの併用や顎下腺摘出を行ったとしても更に抜去が困難となることが予想される。そこで、MRONJに関して抜去を行っている他論文の収集とレビューを現在行っているところである。国内の他施設の調査研究も検討しているところである。
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次年度使用額が生じた理由 |
①次年度使用額が生じた理由;動物実験が遅れているため。 ②翌年度分として請求した研究費と合わせた使用計画;(1)他論文の収集を行う際に費用が発生するようなってきている、(2)国内の他施設の調査研究を行う必要がある、(3)ラットの歯を抜去る際に種々のルートチップを購入して改良する必要がある、以上が挙げられる。これらを行うことにより、骨露出を伴う放射線性顎骨壊死モデルの確立を目指す。
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