研究課題/領域番号 |
19K10273
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
中山 英二 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (60172467)
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研究分担者 |
佐野 友昭 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (20244866)
田代 真康 北海道医療大学, 歯学部, 任期制助手 (20758338)
根津 尚史 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (40264056)
志茂 剛 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (40362991)
永易 裕樹 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (90265075)
杉浦 一考 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (90529398)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 唾石 / 溶解療法 / 唾液腺内視鏡 / クエン酸 / 次亜塩素酸ナトリウム |
研究実績の概要 |
2020年度は、唾石収集と唾石溶解の1次実験を行った。 1)収集できた唾石は、乾燥唾石が15個、生体内に存在する状態を保持した湿潤唾石は5個であった。生体内に存在する状態とは、周囲に食物残渣や口腔内細菌のbiofilmを形成した状態である。唾石は、炭酸カルシウムを主成分とした石灰化した無機質部分と、食物や細菌成分などタンパク質や脂質成分の混合塊であるが、摘出された唾石は乾燥させて保存すると細菌塊などは剥離消失する。そこで、唾石が摘出されるとすぐに生理食塩水などに入れて保存する必要があり、唾石収集を分担する共同研究者に説明して唾石収集を行った。 2)我々が目指している唾石溶解療法は国内外で既報告はなく、国際的にも挑戦的な新規研究であることがわかった。 そこで、唾石の溶解溶液を新規に探索し、石灰化物の溶解に広く使用されているクエン酸を利用することににした。また、有機成分、とくにタンパク質の溶解剤と殺菌作用がある次亜塩素酸ナトリウム水溶液も併用することにした。 3)唾石溶解の1次実験では、乾燥唾石をクエン酸溶液に浸漬させ、デジタル動画撮影を連続的に行い、溶解の様相を定期的に撮影し記録した。その結果、唾石は発泡しながら徐々に溶解することを確認した。クエン酸はカルシウム沈着物の溶解剤として食器などにも利用され、適正濃度であれば生体への安全性は担保できる。しかし、実際の唾石溶解時間には数時間が必要であり、臨床的に唾液腺内視鏡下唾石溶解療法を応用するにはさらなる工夫が必要と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね当初の計画を実行できた。ただし、コロナ禍による一般診療の制約から、唾石収集数は計画よりやや少なく、次年度以降も継続して収集する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
1次実験で唾石が溶解することを確認したが、溶解時間は数時間が必要であり、臨床的に唾液腺内視鏡下唾石溶解療法を応用するにはさらなる工夫が必要である。とくに炭酸カルシウム以外に有機成分が外套を形成している生体内で、治療効果が認められる程度まで唾石を溶解させるには、クエン酸以外の薬剤を応用する必要があると考えられた。そこで、次亜塩素酸ナトリウムに加え、食品洗剤である中性界面活性剤などを追加の溶解剤として応用することを検討する予定である。 また、生体環境状態を保持した唾石のさらなる収集が必要で、次年度以降も引き続き継続して唾石を収集する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍があり、やや実験が遅れ、必要物品であるパーソナルコンピュータなどの物品購入がやや遅れ、かつ物品の新製品の発売を待ったために執行が遅れた。2021年度にそれらの新型を購入する予定である。
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