研究課題
兵庫医科大学 歯科口腔外科学講座で外科的に加療し、病理組織学的に唾液腺癌と診断されて症例に対してバイオマーカーとなり得る融合遺伝子の検討を行った。遺伝子解析に至った症例は粘表皮癌3例、腺様嚢胞癌1例、多形腺腫由来癌1例で、いずれの腫瘍も過去に融合遺伝子の候補となる存在が示唆されている腫瘍である。これらに対してPCR法およびsanger法やNGSを用いた遺伝子解析を行い、融合遺伝子の存在を解析した。粘表皮癌ではCRTC1/3-MAML2の融合遺伝子が約60%程度の頻度で報告されているが、自験例の2/3でCRTC1-MAML2の融合遺伝子を確認した。このうち1例より初代培養細胞株の樹立を試み、培養に成功した。遺伝子解析の結果から新たなバイオマーカーを検索し、LAMB3とTACSTD2が新たな候補として粘表皮癌の臨床検体13 例に対して検討した結果、極めて腫瘍特異的に選択されていることが確認でき、新たな分子標的治療や血液中のバイオマーカーとして活用できるのではないかと検討している。さらに腺様嚢胞癌と多形腺腫由来癌の腫瘍組織からすでに報告されている融合遺伝子を検討したが、我々の解析では融合遺伝子の発現は認められなかった。そのため、さらなる解析を進めている。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Molecular and Clinical Oncology
巻: 16 ページ: 75
10.3892/mco.2022.2508.