研究課題/領域番号 |
19K10278
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
古村 南夫 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (10315070)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 自己免疫 / 水疱症 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
粘膜と皮膚の類天疱瘡、あるいは粘膜類天疱瘡と難治性口内炎の慢性炎症関連の分子群を比較解析するための、粘膜類天疱瘡における慢性炎症化の病態の解明の手掛かりをmiRNAマイクロアレイ他の情報によって得ることを目的とする。 粘膜類天疱瘡は主に口腔粘膜が侵される稀な難治性疾患である。他の自己免疫性水疱症の多くは原因抗原が単一であるが、類天疱瘡群のなかでも特に粘膜類天疱瘡は原因抗原が多彩で原因不明の難治性口内炎とされることも多いと思われる。皮膚の類天疱瘡の分子病態としてIL17 による慢性炎症が関わる可能性が示唆され、口腔粘膜疾患(口腔扁平苔癬、GVHD、難治性口内炎など)でも IL17と慢性炎症の関与が疑われる。皮膚の類天疱瘡の分子病態として、補体活性化によって生じるアナフィラトキシン c5a によって遊走した好中球由来のIL17 による慢性炎症が関わることが明らかにされた。口腔粘膜疾患(口腔扁平苔癬、GVHD、難治性口内炎など)でも IL17 による慢性炎症が難治化に関わるとされており、瘢痕形成もみられる難治性粘膜類天疱瘡の病態への慢性炎症の関与が疑われる。 本年度は難治性口内炎や皮膚の類天疱瘡と粘膜類天疱瘡におけるTh17関連情報として、特に皮膚および粘膜類天疱瘡で我々が以前久留米大学で渉猟した病変部皮膚・粘膜の浸潤細胞の Th17 と関連する分子の発現状況を確認した、また難治性口内炎として類天疱瘡などを含めて福岡歯科大学病院で経過観察されている症例の登録状況の情報確認を行った。施設の支援体制や倫理審査に関連する情報の収集を含めて検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
患者登録データ数を確認したところ、自己免疫性水疱症で口腔粘膜病変を伴うものは症例数が少なく、口腔扁平苔癬、難治性口内炎でも凍結標本などの保管例は非常に少なかった。解析の前段階の準備については、予定よりかなり時間を要する状況である。また、本年1月からの新型コロナウイルスアウトブレイク対応や感染症対策本部での総理発言その後の緊急事態宣言により口腔粘膜病変の検体渉猟などが延期もしくは中止されることとなったため、今後の推移をみて対応する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
次年度のmiRNAマイクロアレイアッセイについては、これまでの実績もあり進捗可能な状況となっている。しかし、病理検体などについては病理学教室や本学の口腔医学研究センターとの協力なども検討する予定である。新型コロナウイルス感染症は第2波、第3波の予測もあり、再流行により緊急事態宣言地域に再指定される可能性も考えて対応していく。 特に、口腔粘膜や唾液からの新型コロナウイルス感染の危険性については、受診患者の受診前や受診後数か月の感染情報など医療機関として通知された例も本施設ではあるため可能性は否定できず、慎重な対応が必要となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:所属機関の新型コロナウイルス感染症に対する歯科大学病院としての対応による研究計画の遅れなどを含む諸事情により、未だ準備段階にとどまっており、各種解析のために使用予定としていた使用額を次年度使用額として繰り越した。
使用計画:新型コロナウイルス感染症の推移によっては、重症例を除く口腔粘膜病理検体を長期間渉猟できない可能性もあり、2年目のmiRNAプロファイリング解析を中心とした研究をまず進めて研究費を使用する予定とする。
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