研究課題/領域番号 |
19K10279
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構北海道がんセンター(臨床研究部) |
研究代表者 |
秦 浩信 独立行政法人国立病院機構北海道がんセンター(臨床研究部), 臨床研究部, 歯科口腔外科医師 (70450830)
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研究分担者 |
北川 善政 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (00224957)
大賀 則孝 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (40548202)
今待 賢治 独立行政法人国立病院機構北海道がんセンター(臨床研究部), 臨床研究部, 歯科口腔外科医師 (40779873)
佐藤 淳 北海道大学, 歯学研究院, 講師 (60319069)
齊田 友香 (北尾友香) 独立行政法人国立病院機構北海道がんセンター(臨床研究部), 臨床研究部, 診療放射線技師 (60838142)
浅香 卓哉 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (80637265)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 顎骨骨髄炎 / 定量画像解析 / SPECT / ARONJ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、目的は多施設共同研究によって顎骨骨髄炎の評価におけるGI-BONE の有用性を検証し、顎骨骨髄炎の汎用性の高い判定基準や病期診断基準を設けることである。。当研究グループの令和元年度から1年間の研究実績を報告する。株式会社AZE製の骨SPECTシンチグラフィ解析ソフトウェアである、GI-BONEにより、当院の顎骨骨髄炎患者のTc集積値について定量解析をおこなった結果を論文報告した(口腔科学会誌2019)。また、2019年10月には32nd EANMにて骨吸収抑制薬関連顎骨壊死患者に対して全例高気圧酸素療法の前後に骨SPECTシンチグラフィを撮像した15例の解析結果を報告した。骨SPECTの定量解析における患者間でのSUVmaxの標準化の方法、集積体積をしめすMBV(metabolic bone volume)を計算する際の閾値の設定方法(左右頭蓋骨のSUVmaxの平均値)について新たな知見を発表した。本内容は現在国際誌であるScientific Reports(IF=4.1)に投稿中である。また、上記対象者において計測した、頭蓋骨のSUVmaxが骨吸収抑制薬の使用期間と関連があることが疑われたため、新たに骨吸収抑制薬を使用していない歯性顎骨骨髄炎患者を14名加え、同様の手法で頭蓋骨のSUVmaxを測定した。頭蓋骨のSUVmaxと骨吸収抑制薬の使用期間には明らかな相関を認めた(r = 0.67 P < 0.0001) 本結果は第59回核医学会にて発表の予定である。また新たな骨SPECT定量解析の応用として、骨吸収抑制薬使用前の要抜去歯の判断基準に骨SPECTのSUVmaxを用いて根尖性歯周炎や辺縁性歯周炎のある歯牙の歯槽骨炎の重症度を評価しすることが可能か調査を行い第58回核医学会にて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、われわれは骨SPECTの定量解析を従来のSPECT単体器によって行ってきた。まだ全国的に少ないがSPCT/CTを導入する施設も散見されるようになっってきている。SPECTの定量解析をより精密に行うには、CTでγ線の内部吸収による減弱補正を行うことが望ましいとされているが、我々が研究対象としてる顎骨は体表に近い組織であり、内部吸収の影響は少ないと考えている。ただしこれはあくまでも仮説であり、実際に多施設共同研究を進めて行くうえでは、この点は検証しなければならない問題である。SPCT/CTは導入施設も研究ベースで使用している段階であり、従来のSPECT単体器を用いている施設が全国的にも大多数である。顎骨に関してはSPECT単体器でもSPECT/CTと遜色のない定量解析が可能なのか、予備調査を終えてから、多施設共同研究にすすむべきと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
共同研究先である北海道大学は当院に先行しSPECT/CTを導入し、2019年9月から心筋シンチや神経内分泌腫瘍に対するオクトレオスキャンなどを優先的して撮像を開始した。共同研究者である北海道大学口腔診断内科の北川善政教授には北海道大学病院の倫理審査委員会の承認を得て、顎骨におけるSPCT/CTの撮像も開始することに同意をいただいた。顎骨骨髄炎患者を対象とし、同一患者において消炎開始前、消炎後に骨髄炎の活動性をモニタリングしSPECT/CTで減弱補正を行ったSUVmaxと減弱補正をかけないSUVmaxとの変化率を比較する予定である。これにより、SPECT単体器でも問題がない(データとして劣らない)ことが証明されれば、既存のSPECT単体器を所有する施設も多施設共同研究に参加することができるであろう。これまで同様に本研究の推進にあたっては北海道大学の口腔診断内科、放射線診断教室(核医学教室と合併)とは定期的な研究ミーティングを行い、綿密な連携をとりながら研究をすすめていく所存である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で3月に予定していた、神奈川での研究会参加を取りやめたため、使用残額が生じた。
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