研究課題/領域番号 |
19K10283
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
勝見 祐二 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70600047)
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研究分担者 |
大島 勇人 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70251824)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 舌神経 / 肉眼解剖 / 筋間隙 / 口腔外科 |
研究実績の概要 |
2019年度新潟大学歯学部および大学院医歯学総合研究科における人体解剖学実習用の日本人成人遺体9体18側を用い、解剖体頭部離断および半切後に舌神経および周囲組織を剖出した後、舌神経に沿って金属ワイヤーを挿入した状態(0.8㎜被膜付き金属ワイヤーを神経の外側に沿わせ、上方は下顎神経分岐部相当部、下端は顎下三角部の舌下腺窩への分岐部を目安に両端を屈曲した後縫合固定)で頭部の単純CTを撮影した。舌神経がワイヤーで描出されたCT画像を顔面手術3D手術計画ソフトPro Plan CMFにて①筋間隙と舌神経の三次元的走向経路の観察、②舌神経と下顎骨との水平垂直的距離の計測を行った。撮影後に肉眼解剖にて実際の舌神経の走向経路と内側翼突筋、顎舌骨筋および上咽頭収縮筋との位置関係を観察した。これらの結果をもとに最終的に筋間隙内の舌神経の走向経路の傾向やパターン化を行い、最終的に実際の患者のCT画像を想定した筋間隙の形態、予測される舌神経走向位置のシミュレーションを行った。 8体においてCT画像上で舌神経を描出し、舌神経と下顎骨との三次元的位置関係の視覚化に成功した。筋間隙内における舌神経の走向位置には個体差を認めたが、下顎智歯相当部においては、水平断では筋間隙の後方、前頭断では筋間隙の下方を走行する傾向が見られた。肉眼解剖においては、口腔内から矢状方向の観察では、舌神経は顎舌骨筋、内側翼突筋、上咽頭収縮筋、茎突舌筋から構成される筋間隙の外側前方を走行し、顎舌骨筋後端で下顎骨舌側皮質骨に最も近接し、それ以降は顎舌骨筋上方を前走しながら下顎骨から離開する傾向を認めた。智歯抜去時のリスク判定としては、筋間隙を構成する筋のうち、顎舌骨筋の後縁と智歯との距離が近いほど損傷のリスクがある可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定対象数の解剖体のデータ収集をを行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度分の解剖体9体の調査を行う。今後CT画像を用いた適切な計測点の設定を検討する予定である。下顎骨と舌神経との距離のみを指標にするのではなく、筋間隙内における神経の位置にも着目する。また、筋間隙の大きさや形状にも個体差があることが分かり、筋間隙の大きさや形状と舌神経の走向経路との関係にも着目したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
CT解析ソフトを購入を見送ったため。
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