研究実績の概要 |
免疫チェックポイント阻害薬の効果に関する研究として、今年度は免疫組織化学的研究としてPD1発現の検討を行った。昨年度に用いた舌癌98例を対象とし、腫瘍細胞におけるPD-L1およびPD-L2の発現との比較検討を行った。PD-L1やPD-L2の発現の見られない個体でも、PD1の発現がみられる個体が存在し、また、その逆にPD-L1やPD-L2の発現のみられる個体でも、PD1の発現がみられない個体が存在した。腫瘍細胞にPD-L1やPD-L2の発現している個体でもその発現部位にPD1発現がみられないものもあり、またその逆の部位も認められた。統計学的にはPD-L1の発現とPD1の発現との間に相関性はみられず、また、PD-L2の発現とPD1の発現との間にも相関性は認められなかった。これらのことから、腫瘍細胞に発現しているPD-L1およびPD-L2の中には、PD1に誘導されずに独自に発現しているものが存在する可能性が示唆された。さらに、培養細胞におけるPD-L1およびPD-L2の発現について検討した。培養細胞としては、SAS,HSC3,HSC4,OSC19,OSC20およびSCC25を用いた。PD-L1およびPD-L2の抗体を用いてFACScanによる各腫瘍細胞のPD-L1およびPD-L2発現について検討した。HSC4,OSC19,OSC20およびSASにおいてはPD-L1が多く発現していた。HSC3においてはPD-L1とPD-L2の両方が発現していた。一方、SCC25においては、PD-L1およびPD-L2のどちらも発現していなかった。腫瘍細胞によってPD-L1とPD-L2の発現状態に違いがみられ、リンパ球の作用のない状態でもこれらのリガンドが発現していることが確認できた。
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