研究課題/領域番号 |
19K10292
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
宮崎 晃亘 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10305237)
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研究分担者 |
中井 裕美 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (80792126)
小林 淳一 札幌医科大学, 医学部, 訪問研究員 (80404739)
土橋 恵 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (50815264)
宮本 昇 琉球大学, 医学部附属病院, 助教 (80749565) [辞退]
笹谷 聖 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (10815715)
岡本 準也 札幌医科大学, 医学部, 訪問研究員 (10749592)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | がん免疫療法 / 口腔がん / がんペプチドワクチン療法 / がん特異抗原 / 免疫逃避機構 / がん幹細胞 / HLA class I / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
腫瘍微小環境(TME)における抗腫瘍免疫応答には各種免疫担当細胞が複雑に関与している。有効な個別化・複合免疫療法を確立するためには、TMEにおける抗腫瘍免疫応答メカニズムの解明やバイオマーカーの開発が重要である。 複数の口腔癌細胞株を樹立し、患者末梢血から末梢血単核球(PBMC)を、手術検体から腫瘍浸潤リンパ球(TIL)をそれぞれ分離し、自家癌特異的細胞傷害性T細胞(CTL)の誘導に成功した。また、口腔癌幹細胞に優位な遺伝子発現を認める複数の遺伝子を同定し、特異的CTLの誘導に成功した。特異的CTLは、口腔癌幹細胞に対して、非癌幹細胞と比較して優位に細胞障害性を認めた。 口腔癌の腫瘍浸潤先端部(IF)および腫瘍中心部(TCe)における免疫担当細胞の発現について、手術検体を用いて免疫組織化学染色により検討したところ、IFの腫瘍実質におけるFoxP3+T細胞の高発現群の全生存率が有意に高いことが明らかとなった。IFの腫瘍実質におけるFoxP3+T細胞は制御性T細胞(Treg)としての抑制活性を持たない集団である可能性が考えられ、CTLA-4+細胞がFoxP3+T細胞の機能を抑制していることが示唆された。また、IFおよびTCeの腫瘍間質におけるCD45Ro+T細胞の高発現群の全生存率、無再発生存率が有意に高いことが明らかとなった。TMEにおけるメモリーT細胞を中心とする獲得免疫機構が口腔癌の予後に関与していると考えられた。以上より、FoxP3+T細胞あるいはCD45Ro+T細胞はバイオマーカーとして有用であることが明らかとなった。 口腔癌細胞にCDDPのストレスを加えると、HSF-の活性化とHSP90の誘導を促し、癌細胞表面におけるPD-L1発現を誘導し、CTL活性を抑制することにより免疫逃避に関与している所見が得られた。化学療法と免疫療法の複合療法が有効である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
樹立した新規癌細胞株とその由来患者から得られたPBMCあるいはTILとの共培養により、自家癌特異的CTLの誘導に成功したが、CTLのクローニングに時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
樹立した癌細胞株とその由来患者のPBMCあるいはTILから自家癌特異的CTLクローンを用いて、その認識している癌細胞抗原ペプチドの分離、同定を行う計画である。癌幹細胞あるいは非癌幹細胞を標的としたペプチドワクチン療法や免疫チェックポイント分子による免疫逃避機構の解明など多方面での研究を進めることにより,作用機序の異なる複合免疫療法や抗癌薬との併用療法の基盤確立を目指す。
樹立した癌細胞株とその由来患者のPBMCあるいはTILから自家癌特異的CTLクローンを用いて、その認識している癌細胞抗原ペプチドの分離、同定を行う計画である。癌幹細胞あるいは非癌幹細胞を標的としたペプチドワクチン療法や免疫チェックポイント分子による免疫逃避機構の解明など多方面での研究を進めることにより,作用機序の異なる複合免疫療法や抗癌薬との併用療法の基盤確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大による人の移動、物資の移動が制約された影響で、当初予定していた研究計画の一部にやや遅れがみられる。試薬類の購入や学会発表が次年度に持ち越しとなり、令和4年度の実験試薬や旅費に充当する予定である。
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