研究課題/領域番号 |
19K10298
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
百田 義弘 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (60247880)
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研究分担者 |
中込 隆之 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (80434950)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 虚血耐性現象 / 神経再生 |
研究実績の概要 |
脳血管障害は歯科医療の分野においても影響力は多大であり、とりわけ局所脳虚血・再灌流障害では脳浮腫をはじめとする重篤な病態を引き起こす可能性がある。これまでの研究において致死的虚血負荷を加える前に非致死的虚血負荷を加えることで脳保護作用が認められており、保護効果の要因として虚血負荷により誘導される神経幹細胞による再生能が亢進することを示した。本研究では致死的虚血負荷が加わる責任血管とは異なる血管をターゲットとする遠隔虚血コンディショニングとして、あらかじめ5分間の非致死的虚血負荷を加え再灌流を行うことでニューロン、グリア細胞の発現形態の変化を観察した。さらに、海馬領域における神経幹細胞の発現機転について観察した。 実験群を両側大腿動脈を5分間虚血、5分間再灌流を行いこの操作を3回行った群と左側頸動脈を5分間虚血、5分間再灌流を行いこの操作を3回行った群、さらに、中大脳動脈を5分間虚血、5分間再灌流を行いこの操作を3回行った群にわけ、各群における海馬領域および大脳皮質でのニューロンおよびグリア細胞の発現、神経幹細胞の発現様式について免疫組織化学染色により観察した。 各群ともニューロン、グリア細胞の脱落はみられなかった。各群とも海馬領域、とりわけ歯状回においてnestin陽性神経幹細胞の発現が亢進する可能性が示唆された。 今後は、これまでの責任血管とは異なる血管に虚血プレコンディショニングを行った際の神経再生能の活性化を考慮し、責任血管である中大脳動脈に致死的虚血負荷を加えた場合の虚血負荷領域および海馬歯状回を中心とした領域での神経幹細胞の発現形式を詳細に観察する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
再現性に優れたCB17系統マウス一過性脳虚血モデルを用い、3群についてMAP2,GFAP,Iba1抗体を用いて免疫染色を行った。すべての群においてニューロン、グリア細胞の脱落は見られなかった。nestin陽性神経幹細胞は海馬領域を中心に発現が亢進することを観察している。今後は一過性遠隔虚血負荷・再灌流操作後に中大脳動脈に致死的虚血負荷を加え、虚血誘導性神経幹細胞の発現機転を詳細に観察する予定である。さらに、虚血により誘導される神経幹細胞が血管周皮細胞かどうかを観察し、さらに反応性アストロサイトかどうかについても検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
免疫組織化学染色後の組織画像写真撮影及び画像解析ソフトを用いて詳細な画像解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
翌年度分として請求した助成金と合わせて、オリンパス社製顕微鏡用デジタルカメラを購入し、研究を継続する予定である。
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