研究課題/領域番号 |
19K10299
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
長田 哲次 近畿大学, 大学病院, 准教授 (60264058)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 口腔癌 / 再建 / 遊離皮弁 / インドシアニングリーン |
研究実績の概要 |
口腔癌再建後の微小血管吻合術を用いた遊離組織移植において皮弁の生着は手術の成否を決定する大きな事項である。しかし、術後の吻合血管の血行不良は数%の確率で存在するため、早期に創を開け血行再開手術を行い皮弁を救済する必要がある。当然、早期の救済であればあるほど救済率は上がるが、早期の血行異常サインの把握は非常に困難で、救済決定の判定は曖昧で難しい反面、判定が遅れた場合、皮弁救済が失敗に終わる。本研究は組織移植における 皮弁の初期虚血状態を正確に読み取る手段としてICGを用いた蛍光診断を行い、早期で確実な救済処置を行い皮弁生着率を向上させることを目的とした。 本年度はウサギの実験モデルを用い、血栓形成までの微小血管の血行動態を観察し、血栓形成に至るまでの皮弁の血行動態の特徴を明らかにする。計画前半ではウサギの実験モデルを用い、血栓形成までの微小血管の血行動態を観察し、血栓形成に至るまでの皮弁の血行動態の特徴を明らかにする。計画後半では再建症例に臨床応用を行う。再建手術が終了しICUに搬入後、定期的にICGを注入し、皮弁の変化を観察する。動物実験で得られた血管塞栓形成直前の皮弁血行パターンのデータを元に症例を集積していく。加えて、今まで皮弁生着という結果で済まされていた症例も実は微小循環の継時的なダイナミックな変化を経て生着に至っていた可能性があり、詳細を知ることで従来の観察では不詳で不可能であった術後の対応が可能になると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では皮弁の微細な血流状態の変化を観察するために、血流の微調整が可能な調節弁(クランプ)を作成し血流量を調整する必要があるが、実際は個体の血管径に違いがあるため個体差に対応可能なフレキシブルな調整が可能なクランプを作成中である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きクランプの改良を行なっていく。本来の目的である皮弁血流の初期変化を捉えることが可能なシステムを構築予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナによる非常事態宣言の発出などにより研究情報の取得が学会出席でなくコンピュータ、WEBに限定され物品購入が遅れたため。令和2年度分をそのまま計画的に使用する見込みである。
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