研究課題
概要リンパ節(LN)転移モデルマウスであるMXH10/Mo/lprにおいて、転移LNを切除することにより、肺の微小転移病巣が活性化することが明らかになっている。本研究ではこのマウスを用いた肺微小転活性化モデルを用いて、 転移LN切除による肺転活性化の機序に関わる分子を肺転移活性化前後の血清質量分析により解析し肺転移予防法の開発を目指した。本研究では転移LN切除により肺転移の活性化を誘導したマウスと活性化前のマウスからの血液を採取し、血清質量分析を行いプロテオームデータを取得したが、この膨大なデータから肺微小転移活性化に関わる分子を同定するには至らなった。この原因としては、肺微小転移の活性化が切除するLNの転移の有無に関わらず生ずること、腫瘍細胞の移植からLNを切除する期間の違いによって肺微小転移の活性化の頻度が異なること等、肺微小転移の活性化の起点としてのLN切除という操作には多くの要因が含まれ、何が起点なのか明確でなかったことが挙げられた。そこで肺微小転移の活性化の起点を絞り込むため、この肺転移の活性化因子や阻害因子に関して様々な方面から検討した。この過程においてLN内の貯留性が向上するサイズのドキソルビシン封入リポソーム(DOX-LP)を転移LNに注入し超音波照射することにより上記肺微小転移の活性化を抑制できることが明らかとなった。この肺微小転移不活化モデルにおいては、超音波照射という明確なトリガーが肺微小転移不活化の起点となっていることから、肺微小転移休眠細胞活性化と不活化モデルマウスとの間で判別能が高い分子の絞り込みが可能かと思われた。現在、担癌マウスのLNの切除により、なぜ、肺微小転移が活性化し、DOX-LPのLN内投与と超音波照射により不活化するのか、このスイッチとなる分子は何かを効率よく探索するための新たな方策を検討し実験を進めているところである。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
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巻: 120 ページ: 105453
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