研究成果の概要 |
血小板活性化因子(PAF)はPAF-Receptor(PAFR)と非常に高い親和性で結合し,炎症, 発癌, 腫瘍転移などに関与する. 近年, PAFRの発現は癌微小環境を変化させ, 一部の抗癌剤耐性の獲得に重要な役割を果たすのではないかと考えられている. しかし, 口腔癌化学療法の標準薬であるシスプラチン(CDDP)の耐性への関与は未だ不明である. そこで本研究では, 口腔扁平上皮癌(OSCC)において PAFRの機能を介したCDDP感受性のメカニズムを解明し, その制御薬を探求した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究において我々は、口腔扁平上皮癌(OSCC)におけるPAF/PAFR経路を介したシスプラチン(CDDP)感受性調節機構を明らかした。CDDPは 広範囲の癌に使用されるプラチナ系抗癌剤であり、OSCCにおいてもCDDPによる化学療法は効果的な治療ではあるが, 抗癌剤に対する耐性の出現が治癒効果を大きく阻害する要因となっている。また、重篤な副作用と頻発する化学療法抵抗性のために, その臨床応用はしばしば制限され、治療において問題となっている。本研究ではPAFRがOSCCにおいてCDDPの感受性の調節に関与していることを示唆したため、価値ある研究と考える。
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