研究課題/領域番号 |
19K10308
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
吉田 祥子 岡山大学, 歯学部, 客員研究員 (00616047)
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研究分担者 |
佐々木 朗 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (00170663)
志茂 剛 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (40362991)
村瀬 友里香 岡山大学, 大学病院, 医員 (70803708)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | PRL-3 / 口腔扁平上皮癌 / 顎骨浸潤 |
研究実績の概要 |
PRL-3(protein phosphatase of regenerating liver-3)は、胃癌、大腸癌などさまざまな癌組織で不良な予後予測因子になると報告されている。口腔扁平上皮癌においても他の癌組織と同様にPRL-3の発現は頸部リンパ節転移などの不良な予後予測因子と関連すると予想したが、予想に反して、高分化型および低浸潤型の口腔扁平上皮癌組織においてPRL-3は高発現することが明らかとなり、PRL-3が口腔扁平上皮癌の分化および浸潤を抑制すると考えられた。口腔扁平上皮癌の顎骨浸潤は、患者の予後を左右する重要な因子であるため、PRL-3が口腔扁平上皮癌の顎骨浸潤も抑制するのではないかと推測した。 そこで、PRL-3が口腔扁平上皮癌の顎骨浸潤を抑制するのか、またそのメカニズムを解明することを目的として研究を開始した。本年度は、口腔扁平上皮癌の顎骨浸潤組織におけるPRL-3の発現および局在について免疫組織化学染色を行い評価した。 歯肉扁平上皮癌の顎骨切除材料からパラフィン包埋切片を作製し、PRL-3の発現を解析したところ、顎骨骨髄への浸潤を認める症例においてPRL-3が低発現の傾向にあり、さらに顎骨浸潤最深部においてもPRL-3が低発現の傾向にあることが明らかになった。 これらの結果をもとに、口腔扁平上皮癌の浸潤過程におけるPRL-3の役割とそのメカニズムを解明することで、PRL-3を分子標的とした口腔扁平上皮癌の浸潤を抑制する方法を導く。これらの知見を、制御困難な口腔扁平上皮癌の治療法・治療薬開発の礎とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
口腔扁平上皮癌の顎骨浸潤組織の免疫組織化学染色でのPRL-3の発現および局在の検討において、条件の検討に予想以上に時間を要したため当初の計画より遅れている。現在in vitroの研究を並行して進めている。
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今後の研究の推進方策 |
PRL-3が口腔扁平上皮癌の顎骨浸潤を抑制するメカニズムを検証するためにPRL-3強制発現口腔扁平上皮癌細胞株を作製する。そして、PRL-3強制発現細胞株をヌードマウスに移植し、マウス骨浸潤モデルを作製してPRL-3が骨浸潤へ及ぼす影響を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に予定していたマウス骨浸潤モデルの研究が進んでいないため次年度使用額が生じた。次年度行うマウス骨浸潤モデルの作製に本費用を使用予定である。
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