研究課題/領域番号 |
19K10310
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
林堂 安貴 広島大学, 病院(歯), 講師 (70243251)
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研究分担者 |
岡本 哲治 東亜大学, その他の研究科, 教授 (00169153)
新谷 智章 広島大学, 病院(歯), 講師 (90403518)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 口腔癌 / 浸潤・転移 / インテグリン / p62 / オートファジー / LC3 |
研究実績の概要 |
インテグリンαv発現が,p62を介した選択的オートファジーにより制御されているかを検討するため,オートファジー阻害剤であるクロロキン存在下で培養した扁平上皮癌細胞におけるインテグリンαv蛋白とオートファゴソームマーカー蛋白であるLC3の局在を,蛍光二重免疫染色で検索した.その結果,インテグリンαvとLC3が細胞内でco-localizationしていることが示されたことから,インテグリンαvはオートファゴソーム内に存在し,リソソームによって分解されている可能性が示唆された.また共免疫沈降法による解析により,インテグリンαvが免疫沈降されたサンプル中に,p62が存在していることを確認した. Mammalian two-hybrid法によるインテグリンαvとp62との結合を確認していないが,共免疫沈降法による解析により,インテグリンαvとp62が扁平上皮癌細胞内で複合体を形成していると考えている.これらのことから,インテグリンαvが口腔扁平上皮癌細胞内で選択的オートファジーにより分解を受けていると推測された.インテグリンαvの細胞内での安定性に,αvのカウンターパートであるβ鎖(β1,β3,β5,β6,β8)との二量体形成が与える影響について解析したところ,インテグリンβ3, β6またはβ8とのヘテロ二量体形成が,インテグリンαvをオートファジー・リソソーム系での分解から保護する所見をみいだしている.一方,インテグリンαvがβ1またはβ5と二量体を形成しても,インテグリンαvはオートファジー・リソソーム系での分解を受けることが示された.現在,二量体を形成するβ鎖により,細胞内でのインテグリンαvの安定性が異なるメカニズムについては不明であるが,今後,解析予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
インテグリンαvが,オートファゴソーム内に取り込まれ,リソソームによって分解されている所見を確認している.Mammalian two-hybrid 法では,まだ確認していないが,選択的オートファジーのアダプター分子であるp62とオートファゴソームαvが,細胞内で複合体を形成することを共免疫沈降法で確認している.ただ,コロナ禍のためか,海外からの試薬や器具等の入手が難しい場合や,入荷が遅れることがあり,一部の研究(Mammalian two-hybrid 法等の遺伝子解析に関する研究)の遂行がおくれた.
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今後の研究の推進方策 |
Mammalian two-hybrid 法のためのGAL4 DNA-Binding Domain Cloning VectorであるpMにp62遺伝子を組み込んだpM/p62,Activation Domain Cloning VectorであるpVP16にインテグリンαv遺伝子を組み込んだVP16/αvを作製している.今後,Mammalian two-hybrid 法にて,p62とインテグリンαVとの結合を詳細に解析する予定である.さらにインテグリンのα鎖とβ鎖の二量体形成が,インテグリン分子の細胞内での安定性に与える影響についても解析を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の流行の以来,購入を予定していた実験器具や試薬の一部の購入(特に海外からの購入)が困難の場合もあり,次年度に予算をくりこすこととなった.最近は,以前に比べ海外からの試薬等の購入がやや可能となったため,繰り越した予算で予定通り研究を進める事を計画している.
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