研究課題/領域番号 |
19K10332
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
新谷 智章 広島大学, 病院(歯), 講師 (90403518)
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研究分担者 |
岡本 哲治 東亜大学, その他の研究科, 教授 (00169153)
林堂 安貴 広島大学, 病院(歯), 講師 (70243251)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | MicroRNA |
研究実績の概要 |
【目的】これまでに、ビタミンD誘導体が、NF-kBシグナル伝達経路を介しHBp17/FGFBP-1の発現を抑制することでin vitro及びin vivoで扁平上皮癌(SCC)の増殖 を抑制することを報告してきた。本研究では、ED-71によるHBp17/FGFBP-1の発現低下や増殖抑制が、regulatory chemical messengerを介しているかを明らかに するために本研究を行った。【方法】細胞株としてNA、KO、Ca9-22およびA431を用いた。研究はすべて無血清培養系を用いて行った。0.4nM ED-71処理12時間後のA431細胞株より培養上清(CM)を採取し、CM中のエクソソームを精製した。エクソソームよりRNAを抽出し、miRNAマイクロアレイ解析を行なった後、オンラインプログラムでHBp17/FGFBP1 mRNAを標的とするmiR候補を検索した。続いて、miR-6887-5p mimicをSCC細胞に導入し、miR-6887-5p mimic過剰発現SCC細胞を分離し、細胞増殖能及びHBp17/FGFBP-1の発現を定量RT-PCR法で比較検討した。【結果】ED-71により発現が上昇するexosomal miR-6887-5pを同定した。A431細胞およびCa9-22細胞のCMから精製したmiR-6887-5pは、ED-71処理群でmiR-6887-5pの発現が上昇した。すべてのmiR-6887-5p導入細胞でHBp17/FGFBP-1のmRNA発現およびタンパク発現の抑制を認めた。miR-6887-5p 導入SCC細胞における、細胞増殖では、すべてのSCC細胞株で有意な増殖抑制効果を認めた。【考察】ED-71は、SCC細胞においてCM中にmiR-6887-5pの発現を上昇させ、腫瘍細胞自身および周囲の腫瘍細胞に機能することが考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、microRNA(mimic)を癌細胞へ導入したが、その際、癌細胞により導入効率が異なり、試薬を2,3種類試したため時間を予定より多く費やした。 ルシフェラーゼアッセイ用の、変異型のコンストラクトを作製するのは外注したが、納期に時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ渦で、物品や試薬の納期に時間がかかることがあるために、必要な試薬は早めに注文するよう心掛ける。R3年度はヌードマウス皮下腫瘍に対してMir-6887-5pの効果を検討する。すなわち、in vitroで、A431細胞とCa9細胞にMir-6887-5pを導入した後に、ヌードマウス皮下に移植する。コントロールにはScramble Mir-RNAを導入した細胞を用いる。2番目に、リポソームを用いたドラッグデリバリーシステムを用いて、遺伝子導入を行う。こちらの方が、より臨床での遺伝子治療に近い研究となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験が遅れており、マウス等の購入ができなかったため。ヌードマウス(約50匹)の購入、Mir-6887-5p、Scramble Mir-RNA、遺伝子導入試薬さらには、細胞培養用の培地などの購入にあてる。
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