研究課題/領域番号 |
19K10333
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
大江 剛 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 徳島大学専門研究員 (60432762)
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研究分担者 |
工藤 隆治 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (10263865)
福田 直志 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (10804156)
宮本 洋二 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (20200214)
中川 貴之 広島大学, 病院(歯), 助教 (30456230) [辞退]
工藤 景子 徳島大学, 病院, 講師 (70380029)
栗尾 奈愛 徳島大学, 病院, 講師 (80622141)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 炭酸アパタイト / 一方向連通気孔 / 骨再生用スキャフォールド / 骨再建材料 / 骨再生 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、一方向連通気孔を有し骨置換性の炭酸アパタイト多孔体(uniaxially porous carbonate apatite:Up-CAp)の骨再建材料および骨再生用スキャフォールドとしての有用性を評価することである。すなわち、①一方向連通気孔を有する炭酸アパタイト多孔体単独による骨再生能、②骨髄幹細胞などを注入、培養した一方向連通気孔を有する炭酸アパタイ ト多孔体をスキャフォールドとした異所性骨再生を検証する必要がある。その中で、2020年度は①ウサギ顎骨区域切除モデルを用いた一方向連通気孔を有する炭酸アパタイト多孔体単独に よる骨再建の評価を行った。 具体的には、ウサギ顎骨区域切除モデルはMiloraらの方法に準じて行った(J Oral Maxillofac Surg 68:1225, 2010)。すなわち、ニュージ ーランド白ウサギの下顎骨に、5mmあるいは10mmの間隙 で区域切除を行い、顎骨欠損部に適合するよう成形しておいたUp-CApを埋植し、チタンミニプレートで顎骨とともに固定した。対照群は一方向連通気孔を有さない炭酸アパタイトブロックとした。しかしながら、ウサギの下顎骨が菲薄でプレート固定しても外れることが多かったので、辺縁切除に切り替えた。試料移植後4週および8週に周囲組織と一塊に試料を摘出した。3次元的なUp-CApの吸収および、骨への置換をμCTで確認した。 Up-CApの組織親和性、骨伝導性、骨置換性の詳細等は病理組織学的に検索した。脱灰組織切片はHE染色、非脱灰組織切片はVillanueva-Goldner染色を行い、光学顕微鏡および蛍光顕微鏡を用いて観察を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、2020年度以降に①ウサギ顎骨区域切除モデルを用いた一方向連通気孔を有する炭酸アパタイト多孔体単独に よる骨再建の評価、②ラット骨髄幹細胞を用いた一方向連通気孔を有する炭酸アパタイト多孔体の異所性骨再生の検討を行う計画とした。①は順調に進んでいる。2021年度以降に②を行う予定で、近交系であるFisher系、7週齢雄性ラットの大腿骨から骨髄細胞を採取するプロトコールは確立できている。今後、この骨髄細胞を一方向連通気孔を有する炭酸アパタイト多孔体と培養し、骨髄細胞を含んだ一方向連通気孔を有する炭酸アパタイト多孔体を作製し動物実験に供する予定である。 以上より、本研究の進捗状況はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に、「ラット骨髄幹細胞を用いた一方向連通気孔を有する炭酸アパタイト多孔体の異所性骨再生の検討」を行う予定である。その前実験として、近交系であるFisher系、7週齢雄性ラットの大腿骨から骨髄細胞を採取するプロトコールは確立できている。今後、この骨髄細胞を一方向連通気孔を有する炭酸アパタイト多孔体と培養し、骨髄細胞を含んだ一方向連通気孔を有する炭酸アパタイト多孔体を作製し動物実験に供する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、設備備品として購入予定であったオートクレーブ(70万円)を購入せず、現在、教室で保有している旧設備で代用している。よって次年度使用額が生じた。これらの金額は以下の実験に使用する予定である。2021年度以降は、骨髄細胞を注入、培養した一方向連通気孔を有する炭酸アパタイト多孔体を背部皮下に埋植し、異所性骨再生を検討する。以上により一方向連通気孔を有する炭酸アパタイト多孔体が優れた骨再建材料および骨再生用スキャフォールドとなりうることを明らかにする。
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