研究課題/領域番号 |
19K10348
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
植野 高章 大阪医科大学, 医学部, 教授 (60252996)
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研究分担者 |
山口 誠二 中部大学, 生命健康科学部, 講師 (50726198)
真野 隆充 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (80325125)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | フルカスタム / チタン / 人工骨 / 表面処理 / 擬似体液 / 骨形成 / 混酸・加熱処理 |
研究実績の概要 |
この研究では積層造形法で作成したフルカスタムチタン人工骨表面への処理方法最適化の定量評価方法を構築するために、擬似体液中のアパタイト結晶構造形性モデルを用いて既存の医療用チタンデバイスに混酸・加熱処理を実施しそのアパタイト結晶形成過程を非処理群と比較・検証した。 まず予備研究として形成混酸処理を施したTi金属板に混酸・加熱処理を施した。具体的内容は、ブラスト-酸処理された既製品Ti製インプラント(A) と、600℃加熱処理を施したもの(B)を擬似体液中に浸漬した。浸漬後のインプラント(=A)、表見処理インプラント(B) 表面を、SEM、EDX、XRD、Raman分光、FTIRで分析した(観察期間は、浸漬後1日、3日、7日、28日とした)。Aは28日浸漬後も表面にアパタイト形成は認めなかったが、Bは浸漬7日以内にアパタイト形成を認め、28日後にはアパタイト結晶は成長していた。これより、酸処理された既製品インプラントに加熱処理を施すことでアパタイト形成能を付与することを明らかにした。研究目的は積層造形技術である選択的レーザー溶融法で作製したチタン人工物での表面処理成果の検証であるが、今年度は予備研究としてSBF内でのアパタイト形成をSEM、EDX、XRD、Raman分光、FTIRで分析し、その解析方法が確立できたと判断する。 同時にラット頭蓋骨に積層造形人工骨を埋植しその組織学的評価について専門学会での報告を行った。 次年度は実際の選択的レーザー溶融法で作成したフルカスタム人工骨に表面処理を施し生体内での骨形成能や骨結合能について研究を実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の計画は、選択的レーザー溶融法で作製したフルカスタムチタン人工骨の表面処理の相違による骨形成能評価法の確立であり、この確立によって次年度の研究が可能となる。今年度、この研究方法を達成することができその成果を国際学会や国内学会で報告を行った。特にチタン表面の形成骨を定量化する手法が組織学的評価では限界があり、今回の手法により定量化に成功したことは次年度の研究遂行に向けての準備が完成したことを意味している。よって今年度の研究はおおむね順調に進展しているとの自己評価に至った。
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今後の研究の推進方策 |
チタン表面の骨形成についての定量評価方法が確立したので2020年度は実験動物を用いた研究に着手する。ラット頭蓋骨に作製した骨欠損部に選択的レーザー溶融法で造形したフルカスタム人工骨を埋植する。術後4、8、12週後にマイクロCT,チタン人工骨の引き抜き強度試験、摘出した組織の組織学的検証、SBFにおけるアパタイト形成評価との比較検証を行う。 また同時にヒトを対象としたフルカスタム人工骨の骨造成も実施する(特定臨床研究審査会承認)。評価法は顎の小欠損を対象とし、臨床的評価として粘膜創部の炎症の有無、骨造成の状態(CT評価)、埋入歯科インプラントの結合度などを評価項目とする。可能であれば摘出組織の組織学的評価やX線学的評価を実施し有効性・安全性の評価を行う。
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