研究課題
3Dプリンター技術を応用した積層造形は純チタン粒子からチタン製人工骨を自由な形状に作り出すことを可能にすることから、医療機器への応用が期待されている。積層造形チタン人工骨が臨床応用されれば広範で複雑な形態を持つ顎骨欠損など硬組織再建において有効である。現在使用されている腓骨・肩甲骨などの大きな自家骨採取が不要となる可能性から再建手術の侵襲軽減に大きく貢献できる。この研究では申請者らがすでに実用化に向けて開発を進めている積層造形チタン人工骨の表面に共同研究者山口らが開発した混酸・加熱(=H2SO4・HCL)処理を施し骨形成能の最適化を評価する。チタン表面処理により微細構造形状(=多孔性)を変化させ骨形成のための混酸・加熱処理の最適条件を解明し実用化に向けた最終的研究および臨床応用を行っている。2017年からはヒト顎骨での骨造成術に積層造形チタンメッシュを実際に使用しその有効性をも検証した。過去に生体内での混酸・加熱処理をした積層造形チタンが骨形成能を飛躍的に向上させることを解明した報告はほとんどなく知る得る限りわれわれが世界で初めてである。またヒトで複数例への臨床応用を実施・報告もわれわれが世界に先駆けて多くの実績を有する。研究では骨形成能評価のため混酸・加熱処理を施しチタン表面の超微細構造に変化を与え表面多孔質のビット形状を処理温度の変化により調整した。この間の擬似体液でのアパタイト結晶沈着が最適であったのは66.3% H2SO4・10.6%HCL混酸・加熱処理 60℃、60分で行ったものであった。ラット頭蓋骨表面にこの条件で結合させた人工骨においても良好な骨形成が組織学的に観察され、積層造形チタン表面処理の生体内での有効性評価の一助となった。臨床応用についても特定臨床研究承認下で10例に実施され良好な結果を得て経過観察を行っている。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)
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