研究実績の概要 |
1. OPRM1_rs1799971 SNPとVASに有意な負の相関関係が認められた(ρ=-0.409, p<0.05)。2. OPRM1_rs9384179 R-CPT:250Hz, 5Hzの差分および2kHz, 250Hz, 5Hzの変化率においてカテゴリー間で対応のないt検定を行った結果、条件間に有意な差が認められた(P<0.05) 多重比較検定の結果、カテゴリー1は0に比較して有意に高い値を示した(P<0.05/3)。カテゴリー0と比較して、1に有意に改善を認めた。SNPと項目間に相関は認められなかった。3. ARID1B_rs502281 SNPとCPT5Hzの差分と変化率に有意な負の相関関係が認められた。(差分:ρ=-0.373, p<0.05)(変化率:ρ=-0.421, p<0.05)。4.ZPLD1_rs2063640 VAS:カテゴリー間で一元配置分散分析を行った結果、条件間に有意な差が認められた(P=0.001) 多重比較検定の結果、カテゴリー0は1および2比較して有意に高い値を示した(P<0.05/3)。相関:SNPとVASに有意な負の相関関係が認められた(ρ=-0.496, p<0.05) 5.METTL4_rs2677879 VAS:カテゴリー間で一元配置分散分析を行った結果、条件間に有意な差が認められた(P<0.05) 多重比較検定の結果、カテゴリー0は1および2比較して有意に高い値を示した(P<0.05/3)。相関:SNPとVASに有意な負の相関関係が認められた(ρ=-0.568, p<0.05)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
OPRM1_rs1799971、ZPLD1_rs2063640、METTL_rs2677879の3つのSNPはVASとの間に有意な負の相関関係が認められた。ARID1B_rs502281のSNPはCPT5Hzの差分に変化率に有意な負の相関関係が認められた。OPRM1_rs9384179に関しては、R-CPTの250Hz, 5Hzの差分および2kHz, 250Hz, 5Hzの変化率において、カテゴリー0と比較して、1に有意に改善を認めた。以前の研究でOPRM1_rs1799971およびOPRM1_rs9384179のmajor/minorまたはmajor/majorのSNPをもったヒトの顎変形症手術の術後の麻薬性鎮痛薬の使用量が有意に少なく、術後疼痛に対する感受性の違いとSNPの相関が示唆されている。今回我々の結果は、SGBの効果とOPRM1_rs1799971はVASにおいて負の相関をみとめた。つまり、OPRM1_rs179997のmajor/minorあるいはmajor/majorを持つヒトは、minor/minorを持つヒトに比較して術後疼痛に含まれる神経障害性疼痛の症状であるアロディニア、異感覚、錯感覚に対する感受性が低い。それとSGBによる血流改善によって神経修復が促進された結果、VASが著明に低下したと考えられる。また、OPRM1_rs9384179に関しては治療後の2kHz, 250Hz, 5Hzの回復はカテゴリー間で有意差を認めた。これも同様の機序で触覚および痛覚の回復と遺伝子多型とに相関を認めたと考えられる。本研究は、顎変形症患者を対象として、遺伝子多型がSGBの治療効果に与える影響について検討した。その結果、各遺伝子多型間に有意差は認められなかったが、遺伝子多型がSGBの効果と相関する可能性が示された。
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