研究課題
本研究において口腔癌幹細胞の細胞特性を有する放射線耐性株(LDR-A431、 HDR-A431株)のIGF2及びPD-L1遺伝子発現を定量PCR法にて検討した結果、WT-A431と比較してLDR-A431は、IGF2を約30倍、PD-L1を約10倍発現上昇していた。また、HDR-A431もLDR-A431程顕著ではないが発現上昇を認めた。Western blot法にてIGF2及びPD-L1蛋白発現を検討した結果、WT-A431と比較してLDR-及びHDR-A431ではIGF2が、またLDR-A431ではPD-L1の蛋白も発現上昇しており、LDR-A431ではIGF2が約2.5倍、PD-L1では約2倍の発現上昇を認めた。さらに、放射線耐性細胞株(LDR-A431、 HDR-A431)におけるIGF2下流シグナル関連蛋白の発現をBio-plexによる網羅的解析ならびにWestern blot法で検討した結果、LDR-、HDR-A431は、WT-A431と比較して、IGF2下流シグナル関連蛋白であるERK、p38、及びCREBの発現亢進を認めた。リン酸化蛋白の上昇率はCREBが最も高く、LDR-、及びHDR-A431ともにWT-A431の約2倍の上昇を示した。また、Lymphokine-activated killer(LAK)細胞の放射線耐性細胞(LDR-A431、 HDR-A431)に対する細胞障害活性の検討した結果、WT-A431と比較して、LDR-、及びHDR-A431のいずれの細胞も、LAK細胞の障害活性に対して有意に耐性を示し、いずれのET ratioにおいても、LDR-A431が最も高い耐性を示した。以上の結果から、癌幹細胞としての性質を有する放射線耐性株の成立、維持にIGF2とPD-L1の2つの因子が相互に関与していることが示唆された。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (4件)
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