研究課題
近年がん治療においてプレシジョン治療の概念が急速に普及している。その中核は、常に変化する腫瘍の性状をリアルタイムに把握する体液を用いたリキッドバイオプシーである。口腔癌においても液体生検による最適化治療の確立は急務であるが、有用なマーカーは見出されておらず、その基盤となる統合的遺伝情報データベースも存在しない。そこで本研究では、口腔癌症例および健常者から非侵襲的に採取したうがい液検体を用いてゲノム・エピゲノム・マイクロRNAなどの統合的マルチオミクス解 析を行い、まず口腔癌および正常粘膜の統合的遺伝情報データベースを構築したのち、遺伝情報に基づいた口腔癌の個別プレシジョン治療を実現することを目的とした。 解析に先立ちわれわれは、約1000名の口腔健常者からうがい液を採取し、健常日本人のデータベース構築に備え十分な試料を確保し、そのエピゲノムプロファイリングを報告した。また、同時に口腔癌、その前癌病変および癌ではない口腔の炎症性疾患の症例のうがい液も収集を終了し、これらの試料を用いてDNAメチル化およびmicroRNAの解析を行ったところ、1.炎症疾患や口腔前癌病変などを含む口腔癌疑い症例群から口腔癌症例を鑑別しうる異常DNAメチル化遺伝子群、2シェーグレン症候群に特異的に発現 するmicroRNA群を同定し、それぞれ学会発表し論文にて報告した。またこれらをバイオマーカーとして用いた新規口腔癌検出システムとシェーグレン症候群診断 システムを構築し、既存の診断法の欠点をカバーし得る新規診断法として知的財産化(国内特許2件、国際特許1件)した。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)
Cancers
巻: 26 ページ: 2646
10.3390/cancers14112646.
Journal of Personalized Medicine
巻: 12 ページ: 1483
10.3390/jpm12091483