研究実績の概要 |
近年の歯科用金属の汎用性および多様性によって歯科用金属が関与する金属アレルギーの発症が増加傾向にあるが, 口腔内での金属アレルギーの発症に関わるT細胞を主体とした遅延型免疫応答の詳細については不明であり, その病態解明は急務な課題とされている. 本研究では世界に先駆けて口腔内での金属アレルギー動物モデルを確立し, 口腔内の金属アレルギーに関わるT細胞を中心とした免疫動態および口腔内の菌叢変化を明らかにしていく. また, 経口免疫寛容を誘導することで口腔粘膜における金属-細菌叢-生体防御系の関連性の観点から免疫応答制御機構を解明し, 金属アレルギーに関する新規診断・治療体系の礎となることを目的としている. 本年度では下記の実験を施行した. 1. 口腔内金属アレルギーマウスモデルの作製と口腔粘膜の腫脹計測:雌のBalb/c (6週齢)両側耳下部周囲にチタンおよびニッケル溶液およびアジュバンドとしてLPSを皮内注射して感作成立後, 両側頬粘膜部に金属溶液単体を注射することで誘導を行い, 口腔内金属アレルギーマウスモデルを作製した. 誘導後の口腔粘膜の腫脹を計測し, 経時的に観察を行った. 2. 検体採取・定量PCR解析・免疫組織化学的検討:口腔内金属アレルギーマウスモデルの口腔粘膜組織から検体を採取しRNA 安定化試薬に浸漬し, その後Total RNA の抽出 cDNAの合成を行った. 各種サイトカイン・ケモカインの遺伝子発現解析を定量PCR法で行った. また, CD3/CD4/CD8による免疫組織学的検討からT 細胞の性状や機能解析を行った.
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