研究実績の概要 |
近年の歯科用金属の汎用性および多様性によって歯科用金属が関与する金属アレルギーの発症が増加傾向にあるが, 口腔内での金属アレルギーの発症に関わるT細胞を主体とした遅延型免疫応答の詳細については不明であり, その病態解明は急務な課題とされている. 金属アレルギーは遅延型アレルギーのひとつであり, その免疫応答には金属特異的T細胞を主体とした獲得免疫機構が関与することが知られている. 金属アレルギーは遅延型アレルギー反応の特徴的な病理像を示し, 上皮下および上皮内にT 細胞を中心としたリンパ球浸潤が集積することが知られている. 一方,金属アレルギー患者の末梢血中には特定のT細胞受容体 (T cellreceptor; TCR) ファミリーを保有するT 細胞の増加が観察され,in vitroでの実験においても,病因と考えられる金属イオンが患者から分離したT 細胞によって金属イオン特異的に増殖を誘導するという報告からも,金属に反応したT 細胞が病因・病態に深く関与する事が示唆されている. 本研究では世界に先駆けて口腔内での金属アレルギー動物モデルを確立し, 口腔内の金属アレルギーに関わるT細胞を中心とした免疫動態および口腔内の菌叢変化を明らかにしていく. また, 経口免疫寛容を誘導することで口腔粘膜における金属-細菌叢-生体防御系の関連性の観点から免疫応答制御機構を解明し, 金属アレルギーに関する新規診断・治療体系の礎となることを目的とし研究を実施した. 本研究では, 口腔粘膜においてPd, Cr, Niの金属を用いてアレルギーモデルマウスを作製し, 口腔内金属アレルギーの発症に関与する特異的T細胞を同定した.また,交差反応性についても検証を行って学会発表および論文発表を行った.
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