研究課題/領域番号 |
19K10372
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
富田 美穂子 松本歯科大学, 歯学部附属病院, 教授 (00366329)
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研究分担者 |
奥村 雅代 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (10362849)
小日向 清美 朝日大学, 歯学部, 助教 (20826200)
寺田 知新 岐阜大学, 医学部, 准教授 (30345780)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 疼痛閾値 / 音楽 / エアタービン / 歯科治療 / 過敏性腸症候群 |
研究実績の概要 |
現在までに、研究対象者40名(男性15名、女性25名)に対して、3種類の条件下(無条件、デンタルタービンの音を聞かせた時、好きな音楽を聞かせた時)での、内腕での触覚閾値と疼痛閾値を知覚・痛覚定量分析装置(pain vision PS-2500N:Nipro)を用いて測定した。さらに、これらの閾値と他の因子との関連を調べるために歯科治療時の不安度とストレスに関する項目としての胃腸に関する質問(過敏性腸症候群:Irritable Bowel Syndrome-IBS)のアンケートを実施した。エアタービンの音はヘッドフォンを装着した状態で聞いてもらい、好きな音楽はインターネットから選んでもらい、同様にヘッドフォンから聞かせた。それぞれ各3回ずつ測定し平均値を求めた。無条件での触覚閾値の平均±SDは11.5±4.5A、疼痛閾値は28.9±10.5Aであり、タービンを聞かせた時の触覚閾値は10.7±6.3A、疼痛閾値は25.8±12.7A、好きな音楽を聞かせた時の触覚閾値は15.5±7.2A、疼痛閾値は48.5±15.7Aであった。歯科治療時の一連の行為(予約をとる、歯科医院に入る、チェアーに座る、麻酔をする、歯を削る、エアタービンの振動等)の不安度をVAS(visual analog scale:1-100)で調べたところ、不安度は歯を削る時が最も高く平均±SDは55.3±20.5、次にエアタービンの振動感じたとき48.8±25.3、その次は麻酔をされたとき35.5±23.6であった。触覚閾値と疼痛閾値の間には、条件に関わらず相関が認められた。歯科治療時の不安度と触覚閾値や疼痛閾値との間に関連は認められなかったが、胃腸の調子が悪い人は、触覚閾値も疼痛閾値も低いことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年2月より、コロナウィルスの影響で共同研究者が所属している岐阜大学や朝日大学への訪問が不可能になったことや、研究対象者への実験協力も要請しにくいため、全体的にかなり遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
コロナウィルスの影響が解除された後、疼痛閾値や触覚閾値を測定した条件下(無条件、タービンの音を聞かせた時、好きな音楽を聞かせた時)での自律神経系のバランスや脳機能の測定を実施する予定である。そして、快・不快による情動やストレスが疼痛閾値、自律神経のバランス、脳機能に与える影響を明確にする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルスの関係で、国際学会や国内学会に参加できなかったこと、人を対象にする実験系のためにデータ採取を頼めなかったことが、次年度使用額の生じた原因である。コロナ関係の影響が落ち着いた後、計画していた実験を再開して、研究器具や必要な消耗品の購入と国際学会・国内学会への参加を予定している。
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