研究課題/領域番号 |
19K10375
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
清流 正弘 東北大学, 歯学研究科, 助教 (80510023)
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研究分担者 |
山本 照子 東北大学, 歯学研究科, 名誉教授 (00127250)
井田 裕人 東北大学, 大学病院, 助教 (20746979)
佐々木 聡史 東北大学, 大学病院, 特任助手 (70792141)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 歯科矯正学 / 歯科矯正用アンカースクリュー |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、高強度純チタン製歯科矯正用アンカースクリューのプロトタイプを作製し、ビーグル犬の顎骨内における安定性や機械的特性について、既存のチタン合金製歯科矯正用アンカースクリューと比較、検討することである。令和元年度は、矯正歯科臨床で用いられている既承認品のチタン合金製歯科矯正用アンカースクリューと同形状、同サイズの高強度純チタン製歯科矯正用アンカースクリュー(PPTi)を作製し、実体顕微鏡によるスクリューの形状の確認を行った後、機械的特性について比較を行った。 ねじり破断試験として、PPTi(N=4)とチタン合金製スクリュー(N=4)を比較。15回転/分で試験した。平均値はチタン合金製スクリュー(13.7Ncm)の方がPPTi(13.4 Ncm)よりもごくわずかに大きかったが、PPTiと有意差は認められなかった。チタン合金製スクリューの添付文書に記載されているねじり破断トルクは9.0Ncm以上であり、どちらのスクリューも基準以上の結果を得た。 横方向の荷重試験として、PPTi(N=3)、とチタン合金製スクリュー(N=3)を比較。どちらも60~80Nまでは比例関係を保ちながら上昇し、その後曲線となり120N前後で最大値を迎えた。スクリューの塑性変形もしくは模擬骨の変形が開始する点は、グラフが直線から曲線に変わる所である。この点が、スクリューの塑性変形もしくは模擬骨の変形が開始する荷重である。アブソアンカーの添付文書では、模擬骨での横方向の荷重試験で模擬骨が変形に至るのは4N以上と記載されており、どちらのスクリューも基準を満たしていた。 以上の結果から、今回作製したPPTiは矯正歯科臨床で用いることが可能なレベルの機械的特性を有することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度は、矯正歯科臨床で用いられている既承認品のチタン合金製歯科矯正用アンカースクリューと同形状、同サイズの高強度純チタン製歯科矯正用アンカースクリュー(PPTi)を作製し、機械的特性について比較することを目標としていた。予定通り、PPTiを作製することができ、その後の機械的特性試験も行うことができた。令和2年度に予定しているビーグル犬顎骨植立試験で使用するスクリューの作製、個数も揃っており、予定通り、令和2年度からすぐにビーグル犬顎骨植立試験を開始できる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度に、ビーグル犬顎骨植立試験を行い、スクリューのビーグル犬顎骨内における安定性の評価、スクリューに荷重を加えた際の安定性の評価、血中含有元素の計測(生体毒性の評価)を実施する。 令和3年度に、スクリュー周囲骨の遺伝子発現の評価、組織学的評価(骨形態計測)、実験前後のスクリューの表面構造、機械的特性の評価を行い、ビーグル犬の顎骨内における安定性や安全性について、高強度純チタン製歯科矯正用アンカースクリューと既存のチタン合金製歯科矯正用アンカースクリューを比較する。
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