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2020 年度 実施状況報告書

高強度純チタン製歯科矯正用アンカースクリューの新規開発に関する基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K10375
研究機関東北大学

研究代表者

清流 正弘  東北大学, 大学病院, 講師 (80510023)

研究分担者 山本 照子  東北大学, 歯学研究科, 名誉教授 (00127250)
井田 裕人  東北大学, 歯学研究科, 非常勤講師 (20746979)
佐々木 聡史  東北大学, 大学病院, 助教 (70792141)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード歯科矯正用アンカースクリュー
研究実績の概要

本研究の目的は、高強度純チタン製歯科矯正用アンカースクリューのプロトタイプを作製し、ビーグル犬の顎骨内における安定性や機械的特性について、既存のチタン合金製歯科矯正用アンカースクリューと比較、検討することである。令和2年度は、1)ビーグル犬顎骨内に植立した歯科矯正用アンカースクリューの安定性の評価 2)ビーグル犬顎骨内に植立した歯科矯正用アンカースクリューに荷重を加えた際の安定性の評価 3)歯科矯正用アンカースクリューを植立したビーグル犬の血中含有元素の計測(生体毒性の評価)を実施した。
その結果、ビーグル犬顎骨において高強度純チタン製歯科矯正用アンカースクリューはチタン合金製歯科矯正用アンカースクリューよりも高い安定性を示すことが明らかとなった。また、ビーグル犬顎骨内に植立した歯科矯正用アンカースクリューに200gの荷重を加えても、高強度純チタン製歯科矯正用アンカースクリューは高い安定性を示すことが明らかとなった。さらに、歯科矯正用アンカースクリュー植立前から植立8週後までの血液中の含有元素濃度の推移の評価(チタン合金の組成元素であるTi・Al・Vについて比較)においては、高強度純チタン製歯科矯正用アンカースクリューを植立したビーグル犬の血液とチタン合金製歯科矯正用アンカースクリューを植立したビーグル犬の血液の2群間において、植立前、植立4週後、植立8週後ともに血液中の含有元素濃度に有意差は認められなかった。
以上のことから、高強度純チタン製歯科矯正用アンカースクリューのプロトタイプは、ビーグル犬顎骨内において高い安定性と安全性を示すことが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和2年度は、歯科矯正用アンカースクリュー植立時の埋入トルク値、植立8週後の撤去トルク値、Periotest を用いたスクリューの動揺度の経時的変化の計測など ビーグル犬顎骨内に植立した歯科矯正用アンカースクリューの安定性の評価を行なった。また、実際の臨床での使用を想定して、ビーグル犬顎骨内に植立した歯科矯正用アンカースクリューに荷重を加えた際の安定性の評価も実施した。さらに、 植立前、植立8週後、24週後時点でビーグル犬から血液を採取し、誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS) による血液中の含有元素濃度の測定を行ない、歯科矯正用アンカースクリューを植立したビーグル犬の血中含有元素の計測(生体毒性の評価)を実施した。これらの実施内容は、当初予定していたものとほぼ同様の内容であり、結果も想定していた通りのものが出てきていることから、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

令和3年度においては、歯科矯正用アンカースクリューのビーグル犬顎骨内植立試験後の組織を用いて、組織学的評価(骨形態計測)および実験前後のスクリューの表面構造、機械的特性の評価を行う予定である。
実験期間終了後、トレフィンバーにより、歯科矯正用アンカースクリュー周囲の組織に囲まれた骨ブロック体を摘出し、樹脂包埋後、組織切片を作製し、実験中に生体染色した切片からmineral appositional rate (μm/day MAR)およびbone formation rate (μm/day BFR)、骨形成速度を算出する。続いて切片をビラヌエバ骨染色液により染色し、bone-to-implant contact (% BIC) (μm)とbone area (% BA) (μm2 )を計測し、各スクリューにおける周囲の骨形成度の違いを評価する。さらに、実験前後の歯科矯正用アンカースクリュー表面を走査型電子顕微鏡 (SEM)にて撮影し、表面構造の変化を観察する。また、①と同様の機械的特性試験を実施し、スクリュー使用後の機械的特性を評価する。
これらの実施内容は当初の計画とほぼ同様の内容であり、実験終了後、本研究結果を論文に発表する予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初の実験計画では、令和2年度に歯科矯正用アンカースクリューのビーグル犬顎骨植立試験を終了し、終了後の組織切片作成に関する費用まで計上していた。実際には、動物実験は令和3年3月末に予定通り終了したが、その後の組織切片作成に関する費用については令和3年4月に計上することとなり、次年度使用額が生じた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 東北大学矯正歯科における過去5年間の顎変形症患者に使用した歯科矯正用アンカースクリューの動向調査2020

    • 著者名/発表者名
      佐々木 周太郎, 真山 敦, 大柳 俊仁, 伊藤 新, 小倉 裕樹, 清流 正弘, 溝口 到
    • 雑誌名

      東北矯正歯科学会雑誌

      巻: 28(1) ページ: 3-10

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Titanium surface treatment by calcium modification with acid-etching promotes osteogenic activity and stability of dental implants.2020

    • 著者名/発表者名
      Yujiro Doea; Hiroto Ida; Masahiro Seiryu; Toru Deguchi; Nobuo Takeshita; Satoshi Sasaki; Shutaro Sasaki; Daiki Irie; Kanji Tsuru; Kunio Ishikawa; TerukoTakano-Yamamoto
    • 雑誌名

      Materialia

      巻: 12 ページ: 100801

    • DOI

      10.1016/j.mtla.2020.100801

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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