研究課題
顎顔面先天異常を伴う希少遺伝性疾患患者における歯の異常に関して、同一の遺伝子変異を有するものでもその表現型が異なることが多く、一次的なゲノムデータ解析によるゲノム配列情報だけでは、形質情報との因果関係を明らかにするのは極めて困難を要する。次の段階として、形質情報に影響を及ぼす因子としてゲノム配列異常を修飾する遺伝子や遺伝子変異に伴う形質情報に影響を及ぼすバイオマーカーを同定することが求められている。本課題では、歯の数ならびに形態異常を有する希少遺伝性疾患患者から得られる大規模ヒト疾患ゲノムデータを、生物学・臨床情報と分野横断的に統合することで、従来型のゲノム配列解析では困難であった遺伝情報と形質情報の関連性を遺伝統計学的観点から明らかにし、歯の数ならびに形態を規定する分子機構を統合的オミックス解析により解明することを目的とした。2022年度の研究実績の概要を以下に示す。歯根長の異常を伴うoculofaciocardiodental (OFCD) 症候群患者ならびに歯に異常を認めない患者の矯正歯科治療にために便宜抜歯された下顎小臼歯から得られた歯根膜細胞よりRNAを抽出し、マイクロアレイにより遺伝子発現の差を検討した。遺伝子オントロジー解析により歯根形成に関わる転写因子、ならびにパスウェイ解析により歯の形成に関わるパスウェイを抽出することができた。BCORの変異によりBCL6を介したZFPM2の発現抑制が起きず、ZFPM2の発現上昇が、OFCD症候群における歯根長異常発症を引き起こしている可能性が示唆された。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
European Journal of Medical Genetics
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