研究課題
呼吸障害は、様々な生理機能の異常を引き起こす。筋機能異常の観点から、口呼吸に関する研究が行われ、舌・口輪筋をはじめとした口腔・顔面筋の機能制御不全を中心とした力学的バランスの崩壊が明らかにされた。このような鼻閉による症状は、上部気道疾患だけではなく、高次脳機能への影響、顎顔面発育への影響などを引き起こす。特に、小児の口呼吸は、顎顔面の成長に影響を与えるだけでなく将来的に睡眠呼吸障害の原因にもなることから、歯科矯正学の分野においても、鼻呼吸の重要性が示唆されている。応募者はこれまで、鼻呼吸障害と口腔・顔面領域における末梢感覚受容器・反射および大脳皮質・海馬などの中枢機能との関連について検討を行ってきた。その結果、鼻呼吸障害に伴い、口腔領域体性感覚系神経回路の再編成、海馬BDNF/TrkBシグナル制御不全、舌運動制御メカニズムの変調などの末梢中枢連関の崩壊が明らかになった。一方、筋機能に関しては、口腔周囲筋における遅筋速筋化が報告されている。しかし、詳細なメカニズムについては解明されていない。そこで応募者は、「呼吸機能低下が筋機能に与える影響のメカニズムについて口腔生理学および生化学を指標として解明し、矯正歯科治療中に行う鼻呼吸指導および筋機能訓練等の論拠となる生理学的な基盤を構築する」ことを研究の全体構想として掲げ、「成長期鼻呼吸障害に伴う筋機能の変調について生理学、組織学および生化学手法を用いて多面的に解明する」ことを本研究課題の具体的な目的として遂行する。成長期ラットを実験動物とし、成長期における鼻閉ラットを作成し、咀嚼野を刺激し、顎二腹筋・咬筋の検討や成長期における鼻閉ラットにおいて咀嚼野の面積を調べ、脳機能へ与える影響を調べた。本年度は鼻閉ラットにおいて咀嚼野の面積について継続してデータを収集し、論文投稿を行った。
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Scientific Reports
巻: 13 ページ: -
10.1038/s41598-023-32921-w
Neuroscience Letters
巻: 783 ページ: 136700~136700
10.1016/j.neulet.2022.136700