研究課題/領域番号 |
19K10379
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
早崎 治明 新潟大学, 医歯学系, 教授 (60238095)
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研究分担者 |
中村 由紀 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70452779)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 咀嚼 / 口腔機能 / 発達 |
研究実績の概要 |
本研究の背景は,我が国の乳歯の萌出時期が「前歯は早く臼歯は遅く」なる傾向にあり,この傾向がアメリカ等先進国では認められるものの,他方途上国では 認められないことにある.これには,現代社会の生活の習慣,例えば出生後の哺乳-離乳食-普通食の移行月齢や軟食化などが関与している可能性がある.従っ て,歯の萌出時期(形態の出現)は摂食行動に関連があると推察できる.それを明らかにするために,1)乳歯:乳幼児の哺乳-離乳食-普通食に至る摂食行動 (質,量,時間等),2)永久歯:給食における咀嚼回数,をそれぞれ調査することにより,摂食行動のエビデンスを獲得することとした.前者は産婦人科,保 育園等から新生児誕生の情報を頂くこととし,後者は保育園,幼稚園時,低学年児童を対象として被験者を獲得する. 本研究の目的から少なくともこの被験者群は18か月(およそ乳犬歯の萌出,卒乳時期)の観察が必要と考えられることから粛々と観察を続けることとなる. 永久歯萌出を対象とした被験者については「かみかみセンサー」の準備とともに被験者も順調に確保が進みすでに150名(予定40名)が確保できている.被検食品 5種類について計測を継続している
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,1)乳歯の萌出時期にかかわる摂食行動(哺乳から離乳食)についての観察・調査研究,2)永久歯の萌出時期にかかわる咀嚼回数にかかわる調査研究にわけることができる.前者においては,被験者を関連病院からの紹介によるが,その数は順調に確保できつつあった.しかし,令和2年2月からCOVID-19により,被検者となる乳幼児の紹介が困難になってきており,一部関連施設においては.被検者に直接面談することを断られる事態になった. 後者については対象となる児童の確保が順調に継続できている.一方,咀嚼回数の検討については計測機器である「かみかみセンサー」の製造・発売中止となったころから準備できた機器の数に制限が生じた.従って,一度に計測できる被験者数が限られることとなったものの,順調に増加しつつある.また「かみかみセンサー」の計測精度を検証したところ,計測装置の下顎への固定に問題があったため,オトガイ部の計測装置を頭部から牽引する補助機能を付加することにより精度を改善することができた. 前者の研究が一部遂行困難となったことから,研究の内容を哺乳から離乳食への移行時期におけるスプーン(食具)の使用法について検討を加えることとした.この研究は方法論を確立するため,成人を対象として,その有効性を確認し,その内容をJournal of Oral Rehabilitation に投稿し掲載された. 以上のことから,1)乳歯に関する研究は遂行は難しいが,それに代わる研究が着実に成果を上げていることから,おおむね順調に進展している,と考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
乳歯の萌出時期にかかわる摂食行動の観察はCOVID-19の影響で,新規被験者の獲得および継続は困難となった.前述の通り,それに代わる研究として哺乳から離乳食への移行時期におけるスプーン(食具)の使用法について検討を行うこととし,その方法論は確立できた.引き続き小児に適用することにより本研究の目的である乳歯の萌出に関する知見を得る所存である.2)永久歯については200名近い被験者を得ており引き続き解析を進める所存である.
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次年度使用額が生じた理由 |
・乳歯を対象とした研究が進捗できない事態になった(Covid-19) ・新たな研究を行いその部分を補う計画である.
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