本研究の背景は,我が国の乳歯の萌出時期が「前歯は早く臼歯は遅く」なる傾向にあり,この傾向がアメリカ等先進国では認められるものの,他方途上国では認められないことにある.これには,現代社会の生活の習慣,例えば出生後の哺乳-離乳食-普通食の移行月齢や軟食化などが関与している可能性がある.従って,歯の萌出時期(形態の出現)は摂食行動に関連があると推察できる.それを明らかにするために,1)乳歯:乳幼児の哺乳-離乳食-普通食に至る摂食行動(質,量,時間等),2)永久歯:給食における咀嚼回数,をそれぞれ調査することにより,摂食行動のエビデンスを獲得することとした.前者は産婦人科,保 育園等から新生児誕生の情報を頂くこととし,後者は保育園,幼稚園時,低学年児童を対象として被験者を獲得する. 本研究の目的から少なくともこの被験者群は18か月(およそ乳犬歯の萌出,卒乳時期)の観察が必要と考えられることから粛々と観察を続けることとなる.永久歯萌出を対象とした被験者については「かみかみセンサー」の準備とともに被験者も順調に確保が進みすでに150名(予定40名)が確保できている.被検食品 5種類について計測を計測を完了した. 小児における計測はコロナウイルス感染の蔓延により,特に感染が小児に移行したため,結果的に計測を行うことが困難であった.蔓延が収まったあかつきには,小児の計測を継続し,本研究課題の目的を達成する所存である.
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